半身不随の父親が名古屋から東京の自宅にやって来た。
父親は現在、離婚問題がこじれて裁判沙汰手前。
理性ではこれ以上引き止めても仕方ないと分かっているが、
未練と恨みがない交ぜになって、意地になってみる模様。
そんな時、一体うちに何しに来る気だあの人―――!?
右の手足が動かないから、階段の上り下りは無理なハズ。
人ごみに押されひっくり返って大怪我したら私の責任か!?
体張って、帰って来いと言ってるつもりか!?
とか、かなり戦々恐々で迎えたのだが・・・。
私の予想は、全く想定外の形で裏切られることになった。
****
今思えば前兆は前日のメールからあった。
「明日のスケジュールを教えてくれる?家に来るの?」
とメール確認すると、
「はい。新横浜から○○駅に乗り換えて、○○線に乗って○○に行き、
○○で降りてから、貴方の家に行きます」
と、やたら詳細かつ遠回りな経路が返ってきたのだ。
けど、その時はさほど不審に思わなかった。
なぜなら父親は筋金入りの「鉄っちゃん」だから。
鉄っちゃんとは、いわゆる鉄道オタク。
一言に鉄道オタクと言っても色々な宗派(?)があるようだが、父は重度の、
乗り鉄(=電車に乗りたい)
撮り鉄(=晴天の日に最高のタイミングで写真を撮りたい)
で、どれほど激務が重なっても晴れた休日は1人でカメラと時刻表を携え全国各地を移動し、
子供の頃から鉄道仲間と写真上映会などを催していたのである。
きっと、滅多に遠出できないから、ついでに珍しい路線に乗ってみたいんだろう。
今思えば私は理解していなかったのだ。
趣味人と、マニアは根本的に違うということを――。
****
日帰りで帰るはずの父親は、大きなバッグをたすきがけにして現れた。
左手に杖を携える姿は、記憶よりも一回り小さくなっている。
「お疲れ様。じゃあ○○線にのる?」
「はい」
麻痺の残る引きつった表情でうなずき、ホームへ向かう。
その足取りは思いのほか軽やか。
動かない右足を引きずりながらもエスカレーターをクリアし、電車に乗り込んだ。
すげえ、一年前は家でもしょっちゅう転びそうになってたのに。
感心して眺める私に構わず、父親は座席に着くとテキパキと手帳を取り出した。
そして車内をキョロキョロと見渡し、あわてた様子で何かを書き込んでいる。
???
怪訝に思い、隣から覗き込んだ。
バス停A 0:00
名古屋駅 0:00 のぞみ×号 0000
新横浜 0:00 0000
―――!!
コイツ、左手しか使えないくせに――!
出発駅と乗車&降車時間、電車番号をキッチリ記録してやがる・・・。
そして予感を持って開いたままのバッグを覗いてみると。
案の定、ニコンのデジカメ一眼レフと、電話帳のごとき時刻表が入っていた・・・。
****
さて、その後の父親といえば・・・
・地下鉄が地上に出る唯一の駅を把握しており、降りてホームで電車の撮影。
・電車が揺れようが席が空いてようが、最前列なら立って前方を眺めてます。
・どんな混雑だろうが、手すりにつかまって階段の上り下りをするハメになろうが、
希望の列車に乗るためなら一心不乱にやり遂げて不満も一切もらしません。
・帰り道はわざわざ東京に出て、新しく開通した副都心線に乗りました。
・その時は記念に切符を買って持ち帰っていた。
心配していた離婚話も、ホームでの撮影の後、話題には出たのだが――。
離婚を許せぬ葛藤を語っている最中、珍しい電車が隣を走ると、
「あっ!!」
と目がそっちを向き、悔しそうにため息。そして一言、
「カメラしまうんじゃなかった・・・」
いやあの、お父様、さっきまでの離婚話は?
極めつけは、その後の会話。
「まあ、奥様の気持ちもわかるけどね。
あったかい家で育って、父さんには尽くしたつもりだろうからさ。
当然あるはずのお返しがなくて、疲れ果てちゃったんじゃん?
ほら、うちって人のために自分を犠牲にするっていう文化がないし」
という言葉に、
「確かに俺は、あいつより鉄道が好きだからなあ」
という耳を疑うような言葉が返ってきたこと。
・・・・・。
そういえばアメリカでの写真も、家族写真より鉄道写真のが明らかに多かったなあ。
私3歳くらいの頃、時刻表に粗相して嘔吐するほど怒られたこともあるし・・・。
なんというか、お父様はもう、結婚とか人間関係とかやめて、
趣味だけに万進したほうがいいと思うんだけど・・・。
本当に清清しいほど、人間味のない人だなあ。
****
そんなこんなで自宅に遊びに来た後、副都心線に乗り、
幸い一度も転んだりはせず帰路へ。
見送った後、帰りの電車で携帯にメールが来た。
「晴れてて楽しかった。これで思い残すことはない。
あとはつくばエクスプレスか」
ま た 撮 り に 来 る 気 で す か
いやまあ、私も面白かったけどな、シュールすぎて。
離婚問題で自暴自棄になってたらとか、泣きつかれたらどうしようとか不安だったけど、
そういうウェットな部分の欠落、情や他人に全く左右されない強固な自我、
going my wayっぷりが今回の離婚問題の発端な気がしてきた・・・。
私も気持ちの切り替えの早さやポジティブさ、趣味人っぷりはよく人に指摘されるけど、
それらは長所短所を越えた、変えようもないその人の性質。
奥様のように人を案じて体調を崩したり、家族で一致団結するなんてできないし、
無理に合わせて一緒にいる必要もないんじゃないか。
早く現実を認めて、魂に合った生き方を見つけて欲しいなあとしみじみ思った。
父親は現在、離婚問題がこじれて裁判沙汰手前。
理性ではこれ以上引き止めても仕方ないと分かっているが、
未練と恨みがない交ぜになって、意地になってみる模様。
そんな時、一体うちに何しに来る気だあの人―――!?
右の手足が動かないから、階段の上り下りは無理なハズ。
人ごみに押されひっくり返って大怪我したら私の責任か!?
体張って、帰って来いと言ってるつもりか!?
とか、かなり戦々恐々で迎えたのだが・・・。
私の予想は、全く想定外の形で裏切られることになった。
****
今思えば前兆は前日のメールからあった。
「明日のスケジュールを教えてくれる?家に来るの?」
とメール確認すると、
「はい。新横浜から○○駅に乗り換えて、○○線に乗って○○に行き、
○○で降りてから、貴方の家に行きます」
と、やたら詳細かつ遠回りな経路が返ってきたのだ。
けど、その時はさほど不審に思わなかった。
なぜなら父親は筋金入りの「鉄っちゃん」だから。
鉄っちゃんとは、いわゆる鉄道オタク。
一言に鉄道オタクと言っても色々な宗派(?)があるようだが、父は重度の、
乗り鉄(=電車に乗りたい)
撮り鉄(=晴天の日に最高のタイミングで写真を撮りたい)
で、どれほど激務が重なっても晴れた休日は1人でカメラと時刻表を携え全国各地を移動し、
子供の頃から鉄道仲間と写真上映会などを催していたのである。
きっと、滅多に遠出できないから、ついでに珍しい路線に乗ってみたいんだろう。
今思えば私は理解していなかったのだ。
趣味人と、マニアは根本的に違うということを――。
****
日帰りで帰るはずの父親は、大きなバッグをたすきがけにして現れた。
左手に杖を携える姿は、記憶よりも一回り小さくなっている。
「お疲れ様。じゃあ○○線にのる?」
「はい」
麻痺の残る引きつった表情でうなずき、ホームへ向かう。
その足取りは思いのほか軽やか。
動かない右足を引きずりながらもエスカレーターをクリアし、電車に乗り込んだ。
すげえ、一年前は家でもしょっちゅう転びそうになってたのに。
感心して眺める私に構わず、父親は座席に着くとテキパキと手帳を取り出した。
そして車内をキョロキョロと見渡し、あわてた様子で何かを書き込んでいる。
???
怪訝に思い、隣から覗き込んだ。
バス停A 0:00
名古屋駅 0:00 のぞみ×号 0000
新横浜 0:00 0000
―――!!
コイツ、左手しか使えないくせに――!
出発駅と乗車&降車時間、電車番号をキッチリ記録してやがる・・・。
そして予感を持って開いたままのバッグを覗いてみると。
案の定、ニコンのデジカメ一眼レフと、電話帳のごとき時刻表が入っていた・・・。
****
さて、その後の父親といえば・・・
・地下鉄が地上に出る唯一の駅を把握しており、降りてホームで電車の撮影。
・電車が揺れようが席が空いてようが、最前列なら立って前方を眺めてます。
・どんな混雑だろうが、手すりにつかまって階段の上り下りをするハメになろうが、
希望の列車に乗るためなら一心不乱にやり遂げて不満も一切もらしません。
・帰り道はわざわざ東京に出て、新しく開通した副都心線に乗りました。
・その時は記念に切符を買って持ち帰っていた。
心配していた離婚話も、ホームでの撮影の後、話題には出たのだが――。
離婚を許せぬ葛藤を語っている最中、珍しい電車が隣を走ると、
「あっ!!」
と目がそっちを向き、悔しそうにため息。そして一言、
「カメラしまうんじゃなかった・・・」
いやあの、お父様、さっきまでの離婚話は?
極めつけは、その後の会話。
「まあ、奥様の気持ちもわかるけどね。
あったかい家で育って、父さんには尽くしたつもりだろうからさ。
当然あるはずのお返しがなくて、疲れ果てちゃったんじゃん?
ほら、うちって人のために自分を犠牲にするっていう文化がないし」
という言葉に、
「確かに俺は、あいつより鉄道が好きだからなあ」
という耳を疑うような言葉が返ってきたこと。
・・・・・。
そういえばアメリカでの写真も、家族写真より鉄道写真のが明らかに多かったなあ。
私3歳くらいの頃、時刻表に粗相して嘔吐するほど怒られたこともあるし・・・。
なんというか、お父様はもう、結婚とか人間関係とかやめて、
趣味だけに万進したほうがいいと思うんだけど・・・。
本当に清清しいほど、人間味のない人だなあ。
****
そんなこんなで自宅に遊びに来た後、副都心線に乗り、
幸い一度も転んだりはせず帰路へ。
見送った後、帰りの電車で携帯にメールが来た。
「晴れてて楽しかった。これで思い残すことはない。
あとはつくばエクスプレスか」
ま た 撮 り に 来 る 気 で す か
いやまあ、私も面白かったけどな、シュールすぎて。
離婚問題で自暴自棄になってたらとか、泣きつかれたらどうしようとか不安だったけど、
そういうウェットな部分の欠落、情や他人に全く左右されない強固な自我、
going my wayっぷりが今回の離婚問題の発端な気がしてきた・・・。
私も気持ちの切り替えの早さやポジティブさ、趣味人っぷりはよく人に指摘されるけど、
それらは長所短所を越えた、変えようもないその人の性質。
奥様のように人を案じて体調を崩したり、家族で一致団結するなんてできないし、
無理に合わせて一緒にいる必要もないんじゃないか。
早く現実を認めて、魂に合った生き方を見つけて欲しいなあとしみじみ思った。
久々にかかってきた父親からの離婚相談電話が、
恋愛・結婚のマジトークに発展してしまった。
特に衝撃的だったのが、
「相手が結婚相手に相応しいか見極めるなら、どこを見ればいい?」
という問いへの答え。
「それは絶対にわからん」
・・・おいっ!
「はぁ?一緒に暮らしたり、相手の家族に会いに行ってもだめなの?」
「それは無理だ。結婚してみるまで、わからん」
なぜそこまで自信満々で答えるか聞いてみたところ…
「お前の母親と結婚するとき、俺の両親はかなり調べたんだ。
でもやっぱり、相手が隠している点については調査が及ばなかった。
結婚すると人生が二人になる。家族になる。
恋人同士で暮らしてみても相手の家族のことは分からないし、
家族に挨拶したとしても、相手が隠している点まではわからない」
「父さんも、弟や私が結婚するときは相手について調べたいと思う?」
眉をひそめて問うと、父親はしばし沈黙した。
「わからん。そこまでは知りたくないかもしれん。
俺はもう、長く生きられないから。
もし俺が70、80まで生きるなら知りたいが、
俺は酷い脳出血をやったから、寿命はそこまで続かない」
本音だな、と思った。
かつて私の上司も言い切った。
脳出血で半身不随になったなら、あと数年程度の命だろうと。
「ただ、結婚するなら頭がいい人としろよ。それは重要だ」
こちらの沈黙をどう取ったのか、藪から棒に父親は言い放った。
「は?何で?ていうか、母さんはともかく、今の奥さんって賢かったっけ?」
「賢くない。頭はよくない」
おいっ!なに断言してるんだこの親父!
「でも綺麗で、優しいから好きだ」
「はぁ?賢くなきゃだめなんじゃないの?」
「子供を産むなら、賢い人のほうがいい。俺は年取ってからの再婚だから」
な、なるほど・・・。
「でも私はお父さんの子供だから、賢い人より優しい人のほうが好きだな。
だって賢い人って、冷たくない?お父さんにしろ、弟にしろ」
「確かに、お前は冷たいな」
「うん。だから私は、いざとなったら自分を犠牲にできる優しい人が好き。
自分にはないものだから、そういう人に惹かれる」
そこまで告げて、ふと前々から気になっていたことを尋ねてみることにした。
「じゃあさ・・・弟や私が結婚するときは、相手に事前に会ってみたい?」
前々から気になっていたのだ。彼をどのタイミングで父親に会わせるべきか。
「わからん」
「私は正直、難癖つけられそうで嫌なんだけど。予め言っとくけど、私が選んだ人に難癖つけたら絶縁するからね」
笑って言うと、父親は唸った。
「俺はお前に、本当は歯科医か医者になってほしかった。文系なら公務員になってほしかった。俺が倒れたら介護をしてほしかった。でもお前は文学部を選び、民間企業に入って、転職して海外で働きたいと言っている。腹立たしいが、俺はお前のほうが正しくて、俺が間違っていることは分かっている」
「私の人生は私のためにあるから。父さんの人生が父さんのためにあるように」
「そうだ。…海外で働きたいなら、とっとと海外に出て働いてきたらどうだ。
日本で力を蓄えてたら、30、40になっても出られないぞ。
働けなくても、留学するなら今のうちだぞ」
つい数ヶ月前は、
「この井の中の蛙が!いきなり海外に飛び出すなんて愚の骨頂」
と嘲笑していた父親の豹変ぶりに驚きながら答えた。
「そうかもしれないね。でも、タイミングは自分で決めるよ。
自分で決めたことなら、私は後悔しないから」
「ほら、お前はそう言う。例えば、俺がお前に医者と結婚しろといったらどうする」
即答した。
「やだよ。エッチの相手と、四六時中一緒にいる相手は自分で選ぶよ。
そもそも私、旦那には経済力より家事力を求めるし」
「お前は、家庭に入る気がないんだな」
「何で私が家に引きこもってなきゃならないの?家事を手伝う気はあるけどさ」
「今の人はみんなそう言う。それは、いいことでもあるが、悪いことでもあるんだ。
家事は分担、稼ぎも分担?同じだけ稼がなきゃいけないぞ」
「それだと競争になっちゃうから、同じだけ生活費を出すやり方にするよ。小遣いや貯金は各自の稼ぎによって増減する、みたいな」
なに私、真剣に答えてるんだ?
そんなこんなで30分近く話した後、父親は、
「まあ結婚するなら、生命保険には入れよ。自分が倒れたとき、相手の生活を脅かすから」
と、まるで生保の営業みたいなことを呟いて電話を切った。
なんで私、あんなこと父親と話したんだろ・・・。
昨日祖母から電話がかかってきて、親族についてしゃべり倒して言ったけど・・・。
二日間のありえない長電話を思い出し、私は顔をしかめた。
まるで遺言みたいな、電話だった。
恋愛・結婚のマジトークに発展してしまった。
特に衝撃的だったのが、
「相手が結婚相手に相応しいか見極めるなら、どこを見ればいい?」
という問いへの答え。
「それは絶対にわからん」
・・・おいっ!
「はぁ?一緒に暮らしたり、相手の家族に会いに行ってもだめなの?」
「それは無理だ。結婚してみるまで、わからん」
なぜそこまで自信満々で答えるか聞いてみたところ…
「お前の母親と結婚するとき、俺の両親はかなり調べたんだ。
でもやっぱり、相手が隠している点については調査が及ばなかった。
結婚すると人生が二人になる。家族になる。
恋人同士で暮らしてみても相手の家族のことは分からないし、
家族に挨拶したとしても、相手が隠している点まではわからない」
「父さんも、弟や私が結婚するときは相手について調べたいと思う?」
眉をひそめて問うと、父親はしばし沈黙した。
「わからん。そこまでは知りたくないかもしれん。
俺はもう、長く生きられないから。
もし俺が70、80まで生きるなら知りたいが、
俺は酷い脳出血をやったから、寿命はそこまで続かない」
本音だな、と思った。
かつて私の上司も言い切った。
脳出血で半身不随になったなら、あと数年程度の命だろうと。
「ただ、結婚するなら頭がいい人としろよ。それは重要だ」
こちらの沈黙をどう取ったのか、藪から棒に父親は言い放った。
「は?何で?ていうか、母さんはともかく、今の奥さんって賢かったっけ?」
「賢くない。頭はよくない」
おいっ!なに断言してるんだこの親父!
「でも綺麗で、優しいから好きだ」
「はぁ?賢くなきゃだめなんじゃないの?」
「子供を産むなら、賢い人のほうがいい。俺は年取ってからの再婚だから」
な、なるほど・・・。
「でも私はお父さんの子供だから、賢い人より優しい人のほうが好きだな。
だって賢い人って、冷たくない?お父さんにしろ、弟にしろ」
「確かに、お前は冷たいな」
「うん。だから私は、いざとなったら自分を犠牲にできる優しい人が好き。
自分にはないものだから、そういう人に惹かれる」
そこまで告げて、ふと前々から気になっていたことを尋ねてみることにした。
「じゃあさ・・・弟や私が結婚するときは、相手に事前に会ってみたい?」
前々から気になっていたのだ。彼をどのタイミングで父親に会わせるべきか。
「わからん」
「私は正直、難癖つけられそうで嫌なんだけど。予め言っとくけど、私が選んだ人に難癖つけたら絶縁するからね」
笑って言うと、父親は唸った。
「俺はお前に、本当は歯科医か医者になってほしかった。文系なら公務員になってほしかった。俺が倒れたら介護をしてほしかった。でもお前は文学部を選び、民間企業に入って、転職して海外で働きたいと言っている。腹立たしいが、俺はお前のほうが正しくて、俺が間違っていることは分かっている」
「私の人生は私のためにあるから。父さんの人生が父さんのためにあるように」
「そうだ。…海外で働きたいなら、とっとと海外に出て働いてきたらどうだ。
日本で力を蓄えてたら、30、40になっても出られないぞ。
働けなくても、留学するなら今のうちだぞ」
つい数ヶ月前は、
「この井の中の蛙が!いきなり海外に飛び出すなんて愚の骨頂」
と嘲笑していた父親の豹変ぶりに驚きながら答えた。
「そうかもしれないね。でも、タイミングは自分で決めるよ。
自分で決めたことなら、私は後悔しないから」
「ほら、お前はそう言う。例えば、俺がお前に医者と結婚しろといったらどうする」
即答した。
「やだよ。エッチの相手と、四六時中一緒にいる相手は自分で選ぶよ。
そもそも私、旦那には経済力より家事力を求めるし」
「お前は、家庭に入る気がないんだな」
「何で私が家に引きこもってなきゃならないの?家事を手伝う気はあるけどさ」
「今の人はみんなそう言う。それは、いいことでもあるが、悪いことでもあるんだ。
家事は分担、稼ぎも分担?同じだけ稼がなきゃいけないぞ」
「それだと競争になっちゃうから、同じだけ生活費を出すやり方にするよ。小遣いや貯金は各自の稼ぎによって増減する、みたいな」
なに私、真剣に答えてるんだ?
そんなこんなで30分近く話した後、父親は、
「まあ結婚するなら、生命保険には入れよ。自分が倒れたとき、相手の生活を脅かすから」
と、まるで生保の営業みたいなことを呟いて電話を切った。
なんで私、あんなこと父親と話したんだろ・・・。
昨日祖母から電話がかかってきて、親族についてしゃべり倒して言ったけど・・・。
二日間のありえない長電話を思い出し、私は顔をしかめた。
まるで遺言みたいな、電話だった。
人間はその身に天使と悪魔を飼っていて、
弱っている時には悪魔が、元気な時は天使が囁くものだと思う。
私の場合、天使は人間と世界。
友達や仲間、上司に同僚、尊敬する人や影響を受けた人。
これまで出会った人達と、これから出会う人達。
アメリカを始めとして訪れた国々と、これから行ってみたい国々、
そこにある歴史や文化、住んでいる人々、自然に気候。
世界は可能性に満ちていて、自分は祝福されているように思う。
そして、悪魔は家族。
なんであの人達はああなんでしょうね。
イタリア旅行準備とアシスタントとヘタリアへの愛(没頭)と、
仕事やつきあいに押されて睡眠不足となり弱ってくると、
まず浮かぶのが父親の顔ですよ。
あー 宿泊先を親に知らせるために連絡取るのが凄いイヤだ。
できれば親のことだけ記憶喪失になりたい。本気で忘れたい。
思い出すと嫌なことしか連想しない。おおイヤだ。
嫌さで言えば 父親>祖母>弟 だろうか。
いや弟に恨みつらみは皆無だし、我ながら弟思いだとは思うのだが、
どうも毎回嫌な局面に登場し、話題も家族の愚痴が中心になるため、
あんまりいいイメージはないのである。
好きだけど疎遠でいられた方がお互い幸せというか、
お互い個別に努力して幸せになろうぜ☆って感じ。
なんか自分のへそから切りたくても切れない赤い糸みたいのが出てて、
あの親と四六時中繋がってる気がする。
大抵の嫌な思いではすぐ忘れられるのに、親だけは忘れられない。
心の暗部をほぼ8割がた占拠してるんじゃないかあの人達。
縁や関わりを一切なくしたい、早くいなくなれコノヤロウと、
このごろ毎日祈るように考えてるような。
うーん、眠いんだなきっと。
どういう形であれ、はやく色々解決してほしいよまったく。
弱っている時には悪魔が、元気な時は天使が囁くものだと思う。
私の場合、天使は人間と世界。
友達や仲間、上司に同僚、尊敬する人や影響を受けた人。
これまで出会った人達と、これから出会う人達。
アメリカを始めとして訪れた国々と、これから行ってみたい国々、
そこにある歴史や文化、住んでいる人々、自然に気候。
世界は可能性に満ちていて、自分は祝福されているように思う。
そして、悪魔は家族。
なんであの人達はああなんでしょうね。
イタリア旅行準備とアシスタントとヘタリアへの愛(没頭)と、
仕事やつきあいに押されて睡眠不足となり弱ってくると、
まず浮かぶのが父親の顔ですよ。
あー 宿泊先を親に知らせるために連絡取るのが凄いイヤだ。
できれば親のことだけ記憶喪失になりたい。本気で忘れたい。
思い出すと嫌なことしか連想しない。おおイヤだ。
嫌さで言えば 父親>祖母>弟 だろうか。
いや弟に恨みつらみは皆無だし、我ながら弟思いだとは思うのだが、
どうも毎回嫌な局面に登場し、話題も家族の愚痴が中心になるため、
あんまりいいイメージはないのである。
好きだけど疎遠でいられた方がお互い幸せというか、
お互い個別に努力して幸せになろうぜ☆って感じ。
なんか自分のへそから切りたくても切れない赤い糸みたいのが出てて、
あの親と四六時中繋がってる気がする。
大抵の嫌な思いではすぐ忘れられるのに、親だけは忘れられない。
心の暗部をほぼ8割がた占拠してるんじゃないかあの人達。
縁や関わりを一切なくしたい、早くいなくなれコノヤロウと、
このごろ毎日祈るように考えてるような。
うーん、眠いんだなきっと。
どういう形であれ、はやく色々解決してほしいよまったく。
家族持ちのスクール元クラスメイトの日記見ると、
実に楽しそうに家族のこと書いてて、たまに不思議になる。
一緒にゴレンジャーの劇を見に行ったとか、映画祭りやカラオケ、
潮干狩りとか、キャンプとか、イチゴ狩り、近所のお祭り。
そーいえば家族いないとやんないね。
昔私も連れてってもらったなー。
と、思い出すと子供時代のその思い出は、
・・・全然楽しくなかったんだよなー。なんでか。
潮干狩りとかやったんだろうけど覚えてないし。
海にはよく行ったけど「連れてかれた」印象しかない。
なんか選択権なく連れてかれたから、海につかりました、みたいな。
いっつも民宿だったけど、今思えばアレは経費削減だな。
山は、すっごい疲れたんだよなー。父さん先行っちゃうし。
あ、でもアメリカでのBBQやハロウィンは楽しかった。
蛍だらけの中を友達と遊んだり、好きな衣装作ってもらったり。
旅行も日本で行ったやつよりグランドキャニオンやナイヤガラ、
ディズニーワールドのがインパクトあるなー。
まああれは、絶対親のが楽しかったと思うけど。
最近高校時代の友達が妊娠して、そーいうお年頃なのね、
と思ったけれど、やっぱり全然実感がない。
働きたいから旦那は邪魔で、子供だけ産もうにも頼る親はいないし、
家族が嫌で新しい家族を作るって、狼から逃げて虎穴に入るようなもの。
そう遠くない未来に、父親や祖母が亡くなると思うと、
ちょっと淋しいけれど、きっと自由になるだろうなと思う。
自由気ままに生きて、満足したら死ぬ。
結局のところそんな生き様が、自分には合ってる気がするんだよなー。
まあ、そんな家族観を覆すような人に会ってみたいとは思うけどさ。
実に楽しそうに家族のこと書いてて、たまに不思議になる。
一緒にゴレンジャーの劇を見に行ったとか、映画祭りやカラオケ、
潮干狩りとか、キャンプとか、イチゴ狩り、近所のお祭り。
そーいえば家族いないとやんないね。
昔私も連れてってもらったなー。
と、思い出すと子供時代のその思い出は、
・・・全然楽しくなかったんだよなー。なんでか。
潮干狩りとかやったんだろうけど覚えてないし。
海にはよく行ったけど「連れてかれた」印象しかない。
なんか選択権なく連れてかれたから、海につかりました、みたいな。
いっつも民宿だったけど、今思えばアレは経費削減だな。
山は、すっごい疲れたんだよなー。父さん先行っちゃうし。
あ、でもアメリカでのBBQやハロウィンは楽しかった。
蛍だらけの中を友達と遊んだり、好きな衣装作ってもらったり。
旅行も日本で行ったやつよりグランドキャニオンやナイヤガラ、
ディズニーワールドのがインパクトあるなー。
まああれは、絶対親のが楽しかったと思うけど。
最近高校時代の友達が妊娠して、そーいうお年頃なのね、
と思ったけれど、やっぱり全然実感がない。
働きたいから旦那は邪魔で、子供だけ産もうにも頼る親はいないし、
家族が嫌で新しい家族を作るって、狼から逃げて虎穴に入るようなもの。
そう遠くない未来に、父親や祖母が亡くなると思うと、
ちょっと淋しいけれど、きっと自由になるだろうなと思う。
自由気ままに生きて、満足したら死ぬ。
結局のところそんな生き様が、自分には合ってる気がするんだよなー。
まあ、そんな家族観を覆すような人に会ってみたいとは思うけどさ。
「どんな結果になっても、桂さんが泣くことにはならないから。
最悪の結果から、働きかければよくなるだけの話だから」
って相談相手は言ってくれたけどさぁ。
確かに、泣くことにはならなかった。
でも家族に対してドン引き。どっ白け。
今までは単にウザイ不幸の種、と思っていたけれど、
ありゃ人生の汚点だと考えを改めた26の春。
もう1人の相談相手である友人Nに、このたびのことを報告した。
半身不随の父親が離婚されそうだ、すわ大変、と相談したものの、
蓋を開けてみれば守銭奴でマザコンで利己的な祖母と父親が、
素朴な奥様を巻き込んで引き起こした悲喜劇。
日記にも書かないくらい、当時の私にとって父の再婚はどうでもよい出来事だったらしいけど(異動直後で忙しかったしなー)思い出せばそもそも再婚話が持ち上がったときから兆候はあったんだよな。
「再婚するけど、いいか?
本当は再婚なんてしたくないけど、
毎日店屋物を深夜に食べる祖母との生活は不幸そのもの。
俺が死んだ後を考えると、お前らには悪いが、
飯を作り帰りを待つ奥さんを娶る」
という、相手の幸せを全く考えてないとしか思えないメールに、
(犬を飼うわけじゃないんだから。エゴイストにも程がある)
と内心突っ込みながら、
「人は誰でも幸福になる権利があるし、一度きりの人生なんだから、やりたいようにやったら?
ただし、その責任は自分で取る覚悟で。
再婚するなら、今度は家庭を顧みて、相手を幸せにしてやってね。
(母さんが不幸だったとは言わないけど、悩んでいても父さんには相談ができないと言っていたよ。自分の為に相手に関心を持つのではなく、相手の為に相手に関心を持ってあげてね)」
なんて殊勝なメールを出した日が遠い昔に感じるわ。
・・・あの時は、やっとあの人でなしの父親と、人らしいコミュニケーションが出来るようになったと嬉しかったんだよな〜(泣)
もっとも自立心豊富な叔母は、父の「飯炊き女が必要だから再婚」という発想に初めから反対だったらしいけど。
奥さんは倒れた父を悪く言うことはなかったけれど、他人に感謝する心や、己の非を認める心、相手の心を想像する力などを学ばず仕舞いな父との結婚生活を思うと、かなり申し訳ない。
「祖母が9割がた悪くて俺は離婚する」だの、
「離婚したら俺は1・2年で再発して死ぬけどいいか!?」だの、
「ばあちゃんと縁を切る。でも家の近くの病院で働く」だの。。。
報告していて、情けなくなって泣けてきた。
いやそりゃ、病気のせいもあると思うよ?
ていうか全てそのためだって思いたいよ?
でも父が元々そういう人だってことを、私は嫌と言うほど知っている。
面倒なことは全て人任せ。お願いでなく命令調で。
上手くいかないと全て人のせいにして、感情のまま怒鳴る責める。
人付き合いでは自分の利益しか考えない。気遣いが超下手。
相手に対する想像力や、頭を下げる謙虚さが圧倒的に足りないから。
極めてケチで伴侶に贅沢させず、祖母の金を搾り取ろうとする。
「老人は死ねばいい」とバカにしてるうちに、自分が老人になった。
昔父はゲーム中ご飯が出来たと話しかけた妻や子に、
「お前のせいで負けたー!」と怒鳴りつける人だった。
今は離婚されそうな事態を前に、
「祖母のせいで離婚されそうだ!お前ら、協力しろ!」
と子供達を怒鳴りつける。
いや、間違いなくアンタが倒れたせいだと思うんだが。
そりゃ祖母も凄いけど、金に汚いのはお互い様だろう。
そしてそれが人にモノを頼む態度かと問いたい。
自分の立場を理解してないとしか思えない。
・・・テレビ番組だったらここでチャンネルを変えるところだが、
残念ながら現実にリセットボタンはないんだよなー。
未だ父親からのメールは絶えないし。着信拒否にしたい。
元々父は嫌いで見てみぬフリをする気マンマンだったけど、
肉親の情と親身な説得から、今回動いてみた。
結論。
家族はもおいい。
私は好きな人や、自分や誰かの幸せや、
せめて感謝してくれる人のために動きたい。
心底嫌いで顔を突き合せるだけで不幸な気分になって、
協力しろと偉そうに命じて、手助けして失敗したら私を責めるバカのためには、
これ以上1歩たりとも動きたくない。
くっそー・・・・幸せになりたいなあ。
親を選ぶ、もしくは捨てる権利が欲しい。
最悪の結果から、働きかければよくなるだけの話だから」
って相談相手は言ってくれたけどさぁ。
確かに、泣くことにはならなかった。
でも家族に対してドン引き。どっ白け。
今までは単にウザイ不幸の種、と思っていたけれど、
ありゃ人生の汚点だと考えを改めた26の春。
もう1人の相談相手である友人Nに、このたびのことを報告した。
半身不随の父親が離婚されそうだ、すわ大変、と相談したものの、
蓋を開けてみれば守銭奴でマザコンで利己的な祖母と父親が、
素朴な奥様を巻き込んで引き起こした悲喜劇。
日記にも書かないくらい、当時の私にとって父の再婚はどうでもよい出来事だったらしいけど(異動直後で忙しかったしなー)思い出せばそもそも再婚話が持ち上がったときから兆候はあったんだよな。
「再婚するけど、いいか?
本当は再婚なんてしたくないけど、
毎日店屋物を深夜に食べる祖母との生活は不幸そのもの。
俺が死んだ後を考えると、お前らには悪いが、
飯を作り帰りを待つ奥さんを娶る」
という、相手の幸せを全く考えてないとしか思えないメールに、
(犬を飼うわけじゃないんだから。エゴイストにも程がある)
と内心突っ込みながら、
「人は誰でも幸福になる権利があるし、一度きりの人生なんだから、やりたいようにやったら?
ただし、その責任は自分で取る覚悟で。
再婚するなら、今度は家庭を顧みて、相手を幸せにしてやってね。
(母さんが不幸だったとは言わないけど、悩んでいても父さんには相談ができないと言っていたよ。自分の為に相手に関心を持つのではなく、相手の為に相手に関心を持ってあげてね)」
なんて殊勝なメールを出した日が遠い昔に感じるわ。
・・・あの時は、やっとあの人でなしの父親と、人らしいコミュニケーションが出来るようになったと嬉しかったんだよな〜(泣)
もっとも自立心豊富な叔母は、父の「飯炊き女が必要だから再婚」という発想に初めから反対だったらしいけど。
奥さんは倒れた父を悪く言うことはなかったけれど、他人に感謝する心や、己の非を認める心、相手の心を想像する力などを学ばず仕舞いな父との結婚生活を思うと、かなり申し訳ない。
「祖母が9割がた悪くて俺は離婚する」だの、
「離婚したら俺は1・2年で再発して死ぬけどいいか!?」だの、
「ばあちゃんと縁を切る。でも家の近くの病院で働く」だの。。。
報告していて、情けなくなって泣けてきた。
いやそりゃ、病気のせいもあると思うよ?
ていうか全てそのためだって思いたいよ?
でも父が元々そういう人だってことを、私は嫌と言うほど知っている。
面倒なことは全て人任せ。お願いでなく命令調で。
上手くいかないと全て人のせいにして、感情のまま怒鳴る責める。
人付き合いでは自分の利益しか考えない。気遣いが超下手。
相手に対する想像力や、頭を下げる謙虚さが圧倒的に足りないから。
極めてケチで伴侶に贅沢させず、祖母の金を搾り取ろうとする。
「老人は死ねばいい」とバカにしてるうちに、自分が老人になった。
昔父はゲーム中ご飯が出来たと話しかけた妻や子に、
「お前のせいで負けたー!」と怒鳴りつける人だった。
今は離婚されそうな事態を前に、
「祖母のせいで離婚されそうだ!お前ら、協力しろ!」
と子供達を怒鳴りつける。
いや、間違いなくアンタが倒れたせいだと思うんだが。
そりゃ祖母も凄いけど、金に汚いのはお互い様だろう。
そしてそれが人にモノを頼む態度かと問いたい。
自分の立場を理解してないとしか思えない。
・・・テレビ番組だったらここでチャンネルを変えるところだが、
残念ながら現実にリセットボタンはないんだよなー。
未だ父親からのメールは絶えないし。着信拒否にしたい。
元々父は嫌いで見てみぬフリをする気マンマンだったけど、
肉親の情と親身な説得から、今回動いてみた。
結論。
家族はもおいい。
私は好きな人や、自分や誰かの幸せや、
せめて感謝してくれる人のために動きたい。
心底嫌いで顔を突き合せるだけで不幸な気分になって、
協力しろと偉そうに命じて、手助けして失敗したら私を責めるバカのためには、
これ以上1歩たりとも動きたくない。
くっそー・・・・幸せになりたいなあ。
親を選ぶ、もしくは捨てる権利が欲しい。

