知人がブログの中で、
1.「あなたにとって死ぬ瞬間、人生で最も価値があったと思えることは何でしょう?」
2.「どのようにすれば、それを最大化できるでしょう?」
という問について真剣に考え、幸せ最大化を実行すれば人生は変わる!
みたいなことを書いていて絶句してしまった。
な、何言ってるのこのひと・・・!
あまりに強烈な違和感に、つい考え込むこと数時間。
その違和感の正体が分かると同時に、現在の悩みのタネが見えてきた。
*****
これまでの短い人生を振り返ると、
20代は人間、30代は世界、40代で創作と大まかなテーマは決めているものの、
大体3年ごとにじっくり悩む軌道修正の時期が来ていた。
なぜなら、成長や環境の変化と共に、
それまでの目標が合わなくなってしまうからである。
例えば中学生の頃は悪目立ちしない一般人になるのが夢だった。
当時の私にとって女子校の人間関係がとんでもないストレスで、
それから逃れられることが、考えうる最大の幸せだった。
人間関係への苦手意識を克服し、リーダー役も引き受けられるようになった今、
振り返ると「中学生の私」は随分下のほうで怯えながら周りを伺っている。
例えば父が倒れ重い後遺症が残ると知った瞬間、MBAは蜃気楼のように遠ざかった。
父という後ろ盾にして乗り越えるべき壁が崩れると同時に、足元の道が崩れ去った。
人生は階段に似ている。
目指す先が創作と一応決まっていたとしても、ステージが上がったり、道が崩れてしまったりすると、立ち止まって進路を再考せざるえなくなる。
両親と同居の女子校時代と、母親亡き後一人暮らしの大学生時代、
父親が倒れ恋人がいる社会人の現在では、見える景色も感じ方も違う。
「自分にとって何が幸せか」固定していたらさぞ人生楽だろううが、
己や世界が変わる限り、幸せの指標は常に変化し続ける。
幸せを最大限にするための努力が報われないのは悔しい。
でも人が本当に悩むのって、成長や一大事によって、
これまで自分を支えてきた価値観が崩れ去った時、
明日から何を目指して生きれば分からなくなってしまった時ではないだろうか。
*****
そこまで反論して、自分は今、大規模な地殻変動のさなかにいるため、
なす術もなくしゃがみこんでいるんだと思い当たった。
短期的目標が蜃気楼となり(0610 キャンパスビジットでMBAに失望)
立ち止まったら一歩先の道がいきなり砕け(0611-0703 父倒れ離婚騒動)
新たなる道を転職に求めスクールで準備していたら(0701-0709)
突如恋人が現れ(0711-02 結婚前提で遠距離の彼氏と付き合うことに)、
思い切って跳べば届く場所に道が現れた。(0703 彼氏一人暮らしで同棲可)
砕けた先の見えない道と、跳べば届く距離にある別の道を睨みながら、
後ろからは「転職&結婚適齢期」が迫っているのである。
これは怖い。
砕けた道の先は一年がかりでも光が見えないし、
別の道に跳躍してしまえば二度と元の道へは戻れない。
道の出現か跳躍先の行く末がもう少し見えるのを待ちたいところだが、
未経験での転職には年齢制限があり、結婚を考えるなら1-2年が勝負である。
ああっ どうする自分!?
とりあえず無策で留まり続けるのも、無鉄砲に跳躍するのも無謀すぎる。
年老いて八方塞がりになったり、跳躍失敗して墜落死するのを防ぐには、
期間を決めて命綱を結わえ、道が消えないことを確認して跳ぶしかない。
最悪跳躍先の階段が脆くても、命綱が砕けた先に引っかかりますように。
1.「あなたにとって死ぬ瞬間、人生で最も価値があったと思えることは何でしょう?」
2.「どのようにすれば、それを最大化できるでしょう?」
という問について真剣に考え、幸せ最大化を実行すれば人生は変わる!
みたいなことを書いていて絶句してしまった。
な、何言ってるのこのひと・・・!
あまりに強烈な違和感に、つい考え込むこと数時間。
その違和感の正体が分かると同時に、現在の悩みのタネが見えてきた。
*****
これまでの短い人生を振り返ると、
20代は人間、30代は世界、40代で創作と大まかなテーマは決めているものの、
大体3年ごとにじっくり悩む軌道修正の時期が来ていた。
なぜなら、成長や環境の変化と共に、
それまでの目標が合わなくなってしまうからである。
例えば中学生の頃は悪目立ちしない一般人になるのが夢だった。
当時の私にとって女子校の人間関係がとんでもないストレスで、
それから逃れられることが、考えうる最大の幸せだった。
人間関係への苦手意識を克服し、リーダー役も引き受けられるようになった今、
振り返ると「中学生の私」は随分下のほうで怯えながら周りを伺っている。
例えば父が倒れ重い後遺症が残ると知った瞬間、MBAは蜃気楼のように遠ざかった。
父という後ろ盾にして乗り越えるべき壁が崩れると同時に、足元の道が崩れ去った。
人生は階段に似ている。
目指す先が創作と一応決まっていたとしても、ステージが上がったり、道が崩れてしまったりすると、立ち止まって進路を再考せざるえなくなる。
両親と同居の女子校時代と、母親亡き後一人暮らしの大学生時代、
父親が倒れ恋人がいる社会人の現在では、見える景色も感じ方も違う。
「自分にとって何が幸せか」固定していたらさぞ人生楽だろううが、
己や世界が変わる限り、幸せの指標は常に変化し続ける。
幸せを最大限にするための努力が報われないのは悔しい。
でも人が本当に悩むのって、成長や一大事によって、
これまで自分を支えてきた価値観が崩れ去った時、
明日から何を目指して生きれば分からなくなってしまった時ではないだろうか。
*****
そこまで反論して、自分は今、大規模な地殻変動のさなかにいるため、
なす術もなくしゃがみこんでいるんだと思い当たった。
短期的目標が蜃気楼となり(0610 キャンパスビジットでMBAに失望)
立ち止まったら一歩先の道がいきなり砕け(0611-0703 父倒れ離婚騒動)
新たなる道を転職に求めスクールで準備していたら(0701-0709)
突如恋人が現れ(0711-02 結婚前提で遠距離の彼氏と付き合うことに)、
思い切って跳べば届く場所に道が現れた。(0703 彼氏一人暮らしで同棲可)
砕けた先の見えない道と、跳べば届く距離にある別の道を睨みながら、
後ろからは「転職&結婚適齢期」が迫っているのである。
これは怖い。
砕けた道の先は一年がかりでも光が見えないし、
別の道に跳躍してしまえば二度と元の道へは戻れない。
道の出現か跳躍先の行く末がもう少し見えるのを待ちたいところだが、
未経験での転職には年齢制限があり、結婚を考えるなら1-2年が勝負である。
ああっ どうする自分!?
とりあえず無策で留まり続けるのも、無鉄砲に跳躍するのも無謀すぎる。
年老いて八方塞がりになったり、跳躍失敗して墜落死するのを防ぐには、
期間を決めて命綱を結わえ、道が消えないことを確認して跳ぶしかない。
最悪跳躍先の階段が脆くても、命綱が砕けた先に引っかかりますように。
転勤を前にした深夜、恋人同士の電話。
「『俺のところに来い』って言えればいいのかもしれないけど、
『一時の感情で将来を棒に振るなよ、俺にかまわず、
鷹子が行きたいところでやりたいことをやれよ』としか言えない」
送迎会の酔いが残る頭で即答した。
「そりゃ、君が無責任じゃないからだよ。
私の人生の責任は私にしか取れないのに、
俺が代わりに取ってやるって、できもしないこと言われても困る」
電話の後、昔父親に言われた言葉を思い出した。
「おまえにはまったく干渉しないタイプの旦那が向いてるのかもな。
そういう人はどこにも導いてくれないが、
自分で道を選んでいくお前には、向いてるのかもしれん」
*****
送迎会で久々に先輩や同期と飲んだ折、家庭や恋愛事情の都合上、
ひょっとしたら仕事を続けるのが難しくなるかもしれないと一部に話した。
打ち明け話をしたのは情報を得たかったからである。
別天地で仕事を見つけるにはどうすればよいか。
狭い部屋で同居すると、どんな生活が待っているのか。
一度仕事を辞めて、関西で働くのは果たして可能なのか。
自分の話がすんなり受け入れられ、
各々がプライベートについて話すのを聞きながら密かに思った。
家庭や恋愛は体のいい言い訳にはなるが、
単なるきっかけに過ぎないことを忘れないようにしないと。
*****
家庭を第一に帰るなら休職して実家に戻るのが一番だろうし、
恋愛を第一に考えるなら相手が神戸に戻るまでしばらく待つのが一番だろう。
(2年以内には戻ると明言してるんだし)
私が動こうとしているのは、家族のためでも恋人のためでもない。
この会社は巨大なぬるま湯のようだ。
居心地はいいけれど、次第に湯の温度は冷めていく。
入居者達がいる限り、会社がなくなることはないだろうけど、
出るのが後になればなるほど体はふやけ、体力は奪われていく。
安定している。仕事が好き。残業がない。人間関係が楽。
動かない言い訳はどれだけだってできる。
人生は一度しかなくて、これ以上ここに居続けていても私の人生はないから。
彼に会う前から転職するつもりだったけれど、怖くて踏み出せそうになかった。
片親と恋人が居て、会社という居場所がなくなっても大丈夫なうちに、
這い出すように私はぬるま湯から抜け出す。
辞めた後、彼の家に転がり込んでノンベンダラリと過ごすのも、
すぐに新しい居場所を探して血眼になるのも結局のところ同じ。
居心地のよい居場所じゃなくて、今の私が行くべき場所、
自分の人生のある場所を見つけ出さないとな、と改めて思った。
「『俺のところに来い』って言えればいいのかもしれないけど、
『一時の感情で将来を棒に振るなよ、俺にかまわず、
鷹子が行きたいところでやりたいことをやれよ』としか言えない」
送迎会の酔いが残る頭で即答した。
「そりゃ、君が無責任じゃないからだよ。
私の人生の責任は私にしか取れないのに、
俺が代わりに取ってやるって、できもしないこと言われても困る」
電話の後、昔父親に言われた言葉を思い出した。
「おまえにはまったく干渉しないタイプの旦那が向いてるのかもな。
そういう人はどこにも導いてくれないが、
自分で道を選んでいくお前には、向いてるのかもしれん」
*****
送迎会で久々に先輩や同期と飲んだ折、家庭や恋愛事情の都合上、
ひょっとしたら仕事を続けるのが難しくなるかもしれないと一部に話した。
打ち明け話をしたのは情報を得たかったからである。
別天地で仕事を見つけるにはどうすればよいか。
狭い部屋で同居すると、どんな生活が待っているのか。
一度仕事を辞めて、関西で働くのは果たして可能なのか。
自分の話がすんなり受け入れられ、
各々がプライベートについて話すのを聞きながら密かに思った。
家庭や恋愛は体のいい言い訳にはなるが、
単なるきっかけに過ぎないことを忘れないようにしないと。
*****
家庭を第一に帰るなら休職して実家に戻るのが一番だろうし、
恋愛を第一に考えるなら相手が神戸に戻るまでしばらく待つのが一番だろう。
(2年以内には戻ると明言してるんだし)
私が動こうとしているのは、家族のためでも恋人のためでもない。
この会社は巨大なぬるま湯のようだ。
居心地はいいけれど、次第に湯の温度は冷めていく。
入居者達がいる限り、会社がなくなることはないだろうけど、
出るのが後になればなるほど体はふやけ、体力は奪われていく。
安定している。仕事が好き。残業がない。人間関係が楽。
動かない言い訳はどれだけだってできる。
人生は一度しかなくて、これ以上ここに居続けていても私の人生はないから。
彼に会う前から転職するつもりだったけれど、怖くて踏み出せそうになかった。
片親と恋人が居て、会社という居場所がなくなっても大丈夫なうちに、
這い出すように私はぬるま湯から抜け出す。
辞めた後、彼の家に転がり込んでノンベンダラリと過ごすのも、
すぐに新しい居場所を探して血眼になるのも結局のところ同じ。
居心地のよい居場所じゃなくて、今の私が行くべき場所、
自分の人生のある場所を見つけ出さないとな、と改めて思った。
桜が満開じゃあ!
会社の周りが花だらけ!
桜ってのはほんと、不思議な花だ。
綺麗で、ド迫力で、時の流れを感じさせる。
来年私は、どこで桜を眺めることになるんだろう。
****
先日辞めることを打ち明けあったパートさんと、昼休み少し離れたお店でランチした。
そこで知ったのだが・・・彼女、退職しないかもしれないらしい。
上司が後任を探しているがなかなか決まりそうになく、
彼女自身いざ辞めることを決めて、だんだん惜しくなってきたという。
辞めても専業主婦として生きる気にはどうしてもなれない。
(気が合わない・あんなふうになりたくない・3ヶ月で飽きそう)
でも今から別の会社で新人からペコペコするのも気が滅入る。
何よりプライベートが大変だったり、気持ちが弱っている時に、
この会社はすごく優しい。
無理に明るく振舞う必要もないし、必要なだけ休めるし、誰も詮索しない。
今回の一件で原因となった上司の態度が軟化すれば、
考え直してもいいような気がしてきた。
そう!いい会社だよ、ここ!
先日こき下ろしたばかりなのに、つい私は会社のいい点を並べ上げた。
去年父親が倒れ、離婚騒動が持ち上がったときもこの会社はすごく優しかった。
気分転換の落語や飲みのために早退遅刻し放題、
説得のレジメは会社で書き上げ、有休も必要なだけ取れた。
仕事は創造的で面白く、与えられた権限も分不相応なもの。
本社の同僚は個人主義、現場の同僚は親切で人間好き。
上司は尊敬できるし、信頼できる同期や、可愛い後輩もいる。
確かに給料はよくないけど・・・一人暮らしして、遊んで、貯金できる。
借り上げの部屋も都心のオフィスも、大のお気に入りだ。
結局のところ、多少の不満はあれど、私は会社が大好きなのだ。
彼と出会わなかったら、転職には本気で踏み出せなかったかもしれない。
****
退職の理由は、転職したいとか彼の傍に住みたいとか色々あるけれど、
要は見たいのだ。
新天地で苦労して適職を見つけ出したり、他人と共同生活するなかで、
さまざまなものを吸収し、学び、成長していく自分を。
一度仕事を辞めて、新天地で再出発。
きっと無職だと住処を見つけるのも大変だろう。
彼と上手くいく保証なんてどこにもない。
望むような仕事はなかなか見つけられないかもしれない。
それでも、私は目の前の渦に飛び込んでいきたい。
他人との共同生活で、何を感じるのか知りたい。
一度ゼロになって、次どう変わりたいかじっくり考えたい。
つくづく私って自分大好き人間だよなーと呆れると同時に、
かつて同じ気持ちになったことがあるのを思い出した。
受験や就活で私は、「今の自分に足りないものを与えてくれる場所」を探した。
大学選びでこだわったのは「バラエティ」だった。
会社選びでこだわったのは「得られる力」だった。
今回の転機で、きっと私は「動物力」を獲得する。
女として彼氏と同棲する。
最終的に新しい家族を作る目的で、互いの家族に関わる。
ゼロになって社会と向き合う。
自らの意志で一度レールから降りて、人生の針路を修正する。
上手くいくか分からないけど、すっごくやってみたい。
苦労しても失敗しても、絶対後悔しないという確信がある。
恋愛や、家族との正面衝突。感情の鍛錬。
安全なシェルターから、一歩踏み出す勇気。
これまでの自分に対する挑戦。
自分に足りないものを身につける冒険。
進めば進んだだけ、きっと新しい景色が広がる。
見える色が増える。世界や人間が愛おしくなる。
来年桜を眺める頃、私の目には世界がどんな風に映っているだろう。
まだ見ぬ1年後の自分の中身が楽しみなのは、
きっと正しい道に踏み出そうとしているからだ。
会社の周りが花だらけ!
桜ってのはほんと、不思議な花だ。
綺麗で、ド迫力で、時の流れを感じさせる。
来年私は、どこで桜を眺めることになるんだろう。
****
先日辞めることを打ち明けあったパートさんと、昼休み少し離れたお店でランチした。
そこで知ったのだが・・・彼女、退職しないかもしれないらしい。
上司が後任を探しているがなかなか決まりそうになく、
彼女自身いざ辞めることを決めて、だんだん惜しくなってきたという。
辞めても専業主婦として生きる気にはどうしてもなれない。
(気が合わない・あんなふうになりたくない・3ヶ月で飽きそう)
でも今から別の会社で新人からペコペコするのも気が滅入る。
何よりプライベートが大変だったり、気持ちが弱っている時に、
この会社はすごく優しい。
無理に明るく振舞う必要もないし、必要なだけ休めるし、誰も詮索しない。
今回の一件で原因となった上司の態度が軟化すれば、
考え直してもいいような気がしてきた。
そう!いい会社だよ、ここ!
先日こき下ろしたばかりなのに、つい私は会社のいい点を並べ上げた。
去年父親が倒れ、離婚騒動が持ち上がったときもこの会社はすごく優しかった。
気分転換の落語や飲みのために早退遅刻し放題、
説得のレジメは会社で書き上げ、有休も必要なだけ取れた。
仕事は創造的で面白く、与えられた権限も分不相応なもの。
本社の同僚は個人主義、現場の同僚は親切で人間好き。
上司は尊敬できるし、信頼できる同期や、可愛い後輩もいる。
確かに給料はよくないけど・・・一人暮らしして、遊んで、貯金できる。
借り上げの部屋も都心のオフィスも、大のお気に入りだ。
結局のところ、多少の不満はあれど、私は会社が大好きなのだ。
彼と出会わなかったら、転職には本気で踏み出せなかったかもしれない。
****
退職の理由は、転職したいとか彼の傍に住みたいとか色々あるけれど、
要は見たいのだ。
新天地で苦労して適職を見つけ出したり、他人と共同生活するなかで、
さまざまなものを吸収し、学び、成長していく自分を。
一度仕事を辞めて、新天地で再出発。
きっと無職だと住処を見つけるのも大変だろう。
彼と上手くいく保証なんてどこにもない。
望むような仕事はなかなか見つけられないかもしれない。
それでも、私は目の前の渦に飛び込んでいきたい。
他人との共同生活で、何を感じるのか知りたい。
一度ゼロになって、次どう変わりたいかじっくり考えたい。
つくづく私って自分大好き人間だよなーと呆れると同時に、
かつて同じ気持ちになったことがあるのを思い出した。
受験や就活で私は、「今の自分に足りないものを与えてくれる場所」を探した。
大学選びでこだわったのは「バラエティ」だった。
会社選びでこだわったのは「得られる力」だった。
今回の転機で、きっと私は「動物力」を獲得する。
女として彼氏と同棲する。
最終的に新しい家族を作る目的で、互いの家族に関わる。
ゼロになって社会と向き合う。
自らの意志で一度レールから降りて、人生の針路を修正する。
上手くいくか分からないけど、すっごくやってみたい。
苦労しても失敗しても、絶対後悔しないという確信がある。
恋愛や、家族との正面衝突。感情の鍛錬。
安全なシェルターから、一歩踏み出す勇気。
これまでの自分に対する挑戦。
自分に足りないものを身につける冒険。
進めば進んだだけ、きっと新しい景色が広がる。
見える色が増える。世界や人間が愛おしくなる。
来年桜を眺める頃、私の目には世界がどんな風に映っているだろう。
まだ見ぬ1年後の自分の中身が楽しみなのは、
きっと正しい道に踏み出そうとしているからだ。
![]() | あなたには帰る家がある (集英社文庫) (1998/01) 山本 文緒 商品詳細を見る |
下品で正直な亭主関白+良妻賢母の茄子田家と、
優柔不断な優男+わがままなキャリア妻の佐藤家の話。
以前読んだときは取り立てて印象に残らなかったのだが、
久々に読み返してみたらすごく面白かった。
茄子田家は伝統的な大家族・大黒柱の田舎家族のデフォルメ、
佐藤家は現代的な核家族・対等な都会家族のデフォルメと読めた。
大黒柱にして裸の王様・茄子田太郎と、良妻賢母にして感情的な脆い女性・綾子夫婦も、よく描けているとは思うが、佐藤家の方が自分の思い描く家族像に近く印象的だった。
佐藤秀明の独白in結婚式場。
『自分の人生は、いったいどこにあるのだろう。秀明はそう思った。
映画に興味を持ったの、中学一年の頃だった。(中略)
あの頃には人生は自分の手の中にあった。いつから、自分はそれを手放してしまったのだろうか』
これに近い話を、社会人になってから何度か周りの男性から聞いた。
主体性が乏しい男性に、ありがちな捉え方だと思う。
学生時代は自分の楽しみを大事にしながら、
周囲に波風立てず穏やかに過ごしたであろう彼ら。
自分の気持ちを表現したり、目の前の人に嫌な顔をされるのが苦手でも、
一人の時間が十分確保され、競争の必要がなければ問題はなかっただろう。
望まぬ伴侶と望まぬ結婚をし、望まぬ職に就いたときから、
秀明は自分の人生の傍観者になってしまったのかもしれない。
毎朝早起きし夜中まで働き、家事も育児も手伝ってるのに、一体何が不満なんだ!?
と真弓に腹立つ気持ちは分かるけど、当事者意識がないから奥様は不満なんだと思う。
寂しさやもどかしさの裏返しというか。(自業自得なんだけど)
例えば家事を手伝わなくても、たまにお茶を入れてあげるとか、
感謝労いの言葉をかけてあげるだけで、真弓の不満はずいぶん軽減されるだろうに。
往生際悪く着飾ってみたり、不倫に手を出して憂さを晴らそうとする様も哀れ。
好む・好まざるに関わらず他人と生きることを選んだのは自分なんだから、
諦めて分かち合った人生こそ自分のものだと誇りを持てばいいのに・・・
と読んでいて悲しくなった。
真弓の独白in公園
『結婚式を挙げ、娘が産まれるまでのほんの数ヶ月間だけが、夢のように幸福だった。娘が産まれてからの日々は、まるで突然地獄に突き落とされたようだった。(中略)
娘はもちろん可愛い。誰よりも愛していると思う。けれど、まったくこちらの言葉が理解できない生き物と、一日べったりいっしょにいなければならないという事態は、想像を絶して苦痛だった。赤ん坊の奴隷になる日々だ。
夫の秀明は、夜遅くまで帰って来ない。近所の人とは話が合わない。母親は“自分達で何とかしなさい”というのが口癖だった。たまに友達に電話をしても、向こうだって忙しい。(中略)
(無理やり仕事を始め、秀明と大黒柱の座を争っていることについて)
間違っていないはず。
少なくとも、今は自分自身の力で生きているという感触がある。人に許可されて生きているわけではないと思う』
うわあああ・・・これは身につまされる。
特に「子供の奴隷になる日々」というフレーズ。怖すぎる。
私は子供を産むのが怖い。その理由が、まさに、コレ。
一生仕事を続けたいなら、子供なんて産むもんじゃない。
もっとも真弓はもともと一生働きたいと思っていたわけではなく、
その場の状況や感情に流される未熟で浅はかな人間として描かれる。
仕事から逃れるため、秀明を罠にはめて子を宿し、専業主婦になった。
我侭で甘ったれ。反省という能力がなく、人を利用することしか考えていない。
しかし、子を産めば我侭はもう通用しない。
仕事は辞められるし、自分に合ってなきゃ変えられるが、
子供は捨てるわけにも、別の子に変えてもらうわけにもいかない。
文字通り我を捨てて子育てに没頭しなければならない。
真弓を都会の一般的な女性に当てはめるのは失礼かもしれないが、
商社勤続5年、まるでファッション雑誌から抜け出したような真弓が、
できちゃった婚の末の子育てに鬱屈を募らせ、無理して保険の外交員になる裏には、
大勢の「抑圧された都会女性達」の姿が透けて見える気がしてならない。
そこそこ仕事はできて楽しみもたくさん知っているけれど、
自我が強く我侭で甘ったれで、気づけば結婚適齢期の女性たち。
うっかり結婚して子を産んでみて、人生の本当の味を知る。
感情的で自我が強すぎる真弓と、受動的で傍観しすぎる秀明。
結婚を考え始めたとき、自分に当てはめて読むと確実に思い悩みます。
でも、面白い。
かつて介護棟の上司である婦長は面接中、突然流れ出した涙に戸惑う私に、
「心が動いたのよ」
「これまで、心が動くことなんてなかったんじゃない?」
「きっとあなたはこれからそうやって成長していくのね」
と、新興宗教も真っ青の思わせぶりな予言を言い渡した。
それから4年間、本当に色々なことがあった。
仕事や家族に揉まれて倒れそうになったりもしたけれど、
私の中を貫く一本の筋は、一度もブレることがなかった。
私の人生は、私だけのもの。
世界と人間を十分味わい、自分だけの物語を書き、
やりたいことを全部やって、満足したら好きな場所で死ぬ。
自分の人生を自分が思った通りに生きるのが好き。
一人で世界と対立し渡り合って、最後に抱擁するのが夢。
だから生涯独身を貫いて、元気なうちに自殺しようと思っていた。
予言からちょうど4年後、彼と出会うまでは。
****
初め私は、彼との出会いを季節の到来のように感じていた。
突然彼方から私の人生にやって来て、愛を叫び始めた人。
一体彼の身に何が起こったのか不可解だったが、
まるで季節の変化を告げる渡り鳥みたいだった。
不思議な現象ではあるが、古今東西の物語や友達の恋話を思い返せば、
「恋愛」とは時に理由なく突発的に発生するもの。
それが我が身に起こるのは意外だったが、喜ばしいことだと思った。
突然わけなく始まったことだから、突然わけなく終わるかもしれない。
それでも恋愛を経験できてうれしい。
こんな機会滅多にないから、悔いのないよう思う存分楽しもうと。
****
今週も彼は、飛行機でやって来た。
今月も月に3回。しつこいようだが往復6時間、4万円。
来すぎである。どう考えても。
九州出向前で、引越しや引継ぎも忙しいだろうに・・・。
この2週間、私は人生プランに彼を加え練り直していた。
一度完全に離職して、転職までの間、彼と一緒に住んでみる。
それが上手くいったら、神戸で職を探す。
そこまでは迷いなく決められるのだが、その先を想定すると、
「果たして私が他人と一緒になって上手くやってけるのか?」
という疑問が繰り返し浮上した。
私は人生の舵を、一生自分で取り続けたい。
だから働き続けたい。経済力は翼だから。
だから子供も産みたくない。足枷になるから。
私は共同生活のために自分を殺したことがない。
実家にはそういう習慣がなかったし、
一人暮らしも来年で順調に十周年の予定だった。
そんな人間が他人と一緒に暮らして、下手すりゃ子を産んで親と同居?
冷静に考えてみると、上手くいくとは思えない。
2週間ぶりに彼と会ったら、改めて話し合おうと思った。
彼の顔を見ると、理性が飛んだ。
なんか「桂鷹子の管理運転室」で常時どっかり腰を落ち着けている理性を、
彼の顔を見たとたん感情が突き飛ばしたようなのである。
脳で点滅する制御不能の赤ランプ。
コントロールパネルに浮かぶ「好き」という文字。
理性がいかにコントロールキーを握ろうが、もはやアクセス不能。
恋愛ウイルスにやられた!彼にOSをクラッシュされた!ていう。。。
恋は人を盲目にするとは言うが、
普段人より目がいいと自惚れている私にとっては恐怖でさえある。
彼の顔を見ると明らかに馬鹿になる自分がいる。
突然泣き出したり嬉しくなったり、自分じゃないみたいだ。
こんなんで一緒に暮らして大丈夫だろうか。
つかの間のドーパミンの快楽に委ね、身をやつすことにならないだろうか。
震え上がる理性とは別のところで、私は知っている。
何か外的な変化がない限り、私は止まらないだろうことを。
理性という内的システムでそれを止めようと試みるのは、
桜が春になっても花を咲かさないよう試みるのと同じだろうと。
****
年を取ってから事故や病気で視力を失った人の多くは、
聴覚や触覚、嗅覚など他の補助的感覚が鋭くなるという。
日常目に頼るのと同じくらい理性一辺倒だった私は、
正直恋愛のもたらす盲目という副作用が怖くて仕方ないが、
慣れればそのうち第三の目が開けるのではないか。
開きかけた第三の目が捉える将来への道筋が、
自分と彼、そして多くの人にとって幸多いものであることを祈る。
「心が動いたのよ」
「これまで、心が動くことなんてなかったんじゃない?」
「きっとあなたはこれからそうやって成長していくのね」
と、新興宗教も真っ青の思わせぶりな予言を言い渡した。
それから4年間、本当に色々なことがあった。
仕事や家族に揉まれて倒れそうになったりもしたけれど、
私の中を貫く一本の筋は、一度もブレることがなかった。
私の人生は、私だけのもの。
世界と人間を十分味わい、自分だけの物語を書き、
やりたいことを全部やって、満足したら好きな場所で死ぬ。
自分の人生を自分が思った通りに生きるのが好き。
一人で世界と対立し渡り合って、最後に抱擁するのが夢。
だから生涯独身を貫いて、元気なうちに自殺しようと思っていた。
予言からちょうど4年後、彼と出会うまでは。
****
初め私は、彼との出会いを季節の到来のように感じていた。
突然彼方から私の人生にやって来て、愛を叫び始めた人。
一体彼の身に何が起こったのか不可解だったが、
まるで季節の変化を告げる渡り鳥みたいだった。
不思議な現象ではあるが、古今東西の物語や友達の恋話を思い返せば、
「恋愛」とは時に理由なく突発的に発生するもの。
それが我が身に起こるのは意外だったが、喜ばしいことだと思った。
突然わけなく始まったことだから、突然わけなく終わるかもしれない。
それでも恋愛を経験できてうれしい。
こんな機会滅多にないから、悔いのないよう思う存分楽しもうと。
****
今週も彼は、飛行機でやって来た。
今月も月に3回。しつこいようだが往復6時間、4万円。
来すぎである。どう考えても。
九州出向前で、引越しや引継ぎも忙しいだろうに・・・。
この2週間、私は人生プランに彼を加え練り直していた。
一度完全に離職して、転職までの間、彼と一緒に住んでみる。
それが上手くいったら、神戸で職を探す。
そこまでは迷いなく決められるのだが、その先を想定すると、
「果たして私が他人と一緒になって上手くやってけるのか?」
という疑問が繰り返し浮上した。
私は人生の舵を、一生自分で取り続けたい。
だから働き続けたい。経済力は翼だから。
だから子供も産みたくない。足枷になるから。
私は共同生活のために自分を殺したことがない。
実家にはそういう習慣がなかったし、
一人暮らしも来年で順調に十周年の予定だった。
そんな人間が他人と一緒に暮らして、下手すりゃ子を産んで親と同居?
冷静に考えてみると、上手くいくとは思えない。
2週間ぶりに彼と会ったら、改めて話し合おうと思った。
彼の顔を見ると、理性が飛んだ。
なんか「桂鷹子の管理運転室」で常時どっかり腰を落ち着けている理性を、
彼の顔を見たとたん感情が突き飛ばしたようなのである。
脳で点滅する制御不能の赤ランプ。
コントロールパネルに浮かぶ「好き」という文字。
理性がいかにコントロールキーを握ろうが、もはやアクセス不能。
恋愛ウイルスにやられた!彼にOSをクラッシュされた!ていう。。。
恋は人を盲目にするとは言うが、
普段人より目がいいと自惚れている私にとっては恐怖でさえある。
彼の顔を見ると明らかに馬鹿になる自分がいる。
突然泣き出したり嬉しくなったり、自分じゃないみたいだ。
こんなんで一緒に暮らして大丈夫だろうか。
つかの間のドーパミンの快楽に委ね、身をやつすことにならないだろうか。
震え上がる理性とは別のところで、私は知っている。
何か外的な変化がない限り、私は止まらないだろうことを。
理性という内的システムでそれを止めようと試みるのは、
桜が春になっても花を咲かさないよう試みるのと同じだろうと。
****
年を取ってから事故や病気で視力を失った人の多くは、
聴覚や触覚、嗅覚など他の補助的感覚が鋭くなるという。
日常目に頼るのと同じくらい理性一辺倒だった私は、
正直恋愛のもたらす盲目という副作用が怖くて仕方ないが、
慣れればそのうち第三の目が開けるのではないか。
開きかけた第三の目が捉える将来への道筋が、
自分と彼、そして多くの人にとって幸多いものであることを祈る。
朝、出社すると月曜から休みっぱなしだった39歳新人が、ボスの前に跪いていた。
「よかった、今日は出社か」と思うと同時に、私は首をかしげた。
・・・なにやってんの?
見るとボスは珍しく困り果てた顔で、新人は顔を赤らめ泣きそうな顔である。
許しを請う罪人のようにも見える。
「はよーございます☆どうかしたんですか?」
声をかけると新人はハッとしたように、ボスはホッとしたように振り返った。
****
やっと新人は、辞める決断をしてくれた。
いやー自分の下の人が辞めると聞いてこんなにホッとするのは初めて。
なんせ会社潰れて片親は死に片親は倒れ、本人も情緒・体調不安定。
異常な自己防衛本能と後ろ向きさ、卑屈さ。仕事ではなく自分へのプライド。
そんなヤツが、私よりも高給取り。←重要
2人体制でこれはツライ。
特に先月・今月と連ちゃんで休まれ、こっちも倒れそうだった。マジで。
人員補充は派遣で行うことになった。
今度は採用面接から入れてもらうことに。
私との相性が一番重要だし、一度採用面接はやってみたかったので嬉しい。
****
仕事中ボスに呼び出されて、ちょっと打ち合わせをした。
新人の辞めるタイミングや、採用の仕方、業務状況。
そんな中で、何故か結婚話に花が咲いた。
「相手が結婚相手に相応しいか、どこで見極めればいいと思いますか?」
先日父親にしたのと同じ問いを向けてみると、ボスは目を宙に泳がせた後、答えた。
「2人でずっと、仲良くいられることじゃないのかな」
「へっ!?」
功利&合理主義が服着て歩いてるようなボスの思わぬ発言に目を丸くすると、ボスは苦笑した。
「いちゃいちゃすることじゃないぞ?一緒にいて、仲良くできること」
「いや、分かってますけど・・・い、意外です。正直、何か条件をおっしゃるかと思った」
意外すぎて敬語がおかしくなる私に、ボスは笑って続けた。
「今の世の中、どんな条件も簡単に崩れるんだよ。
大きな企業だっていつ潰れるかわからないし、病気をするかもしれない。
結婚した翌日、そいつの父親が人を殺すかもしれない。
条件は過去の結果で、結婚は未来への話だろ?
たとえゼロからでも、たとえば清掃業だったりリサイクルショップだったり、
元手がかからない商売なんてたくさんあるんだ。
1日いくらで、マスを相手にすれば驚くほど儲かるんだぞ?
皆汚いとか言ってやりたがらないが、
俺に言わせりゃあっちのほうが、うちの会社員より全然割が合うしまともだよ。
綺麗なオフィスで一日中パソコンの前に座って安月給。
給料に見合う工夫の仕様もない。自分の考えた商売じゃないから」
「へー 重要なのはゼロから出発できるだけのガッツがあることですか?」
「いや・・・ガッツってのも難しいんだ。
普段全然頼りなくても、いざとなった時強いやつもいれば、
普段は偉そうにしていても、挫折にトンと弱いやつもいる。
要はそいつの本質だな。
性根がよくて、仲良く一緒にいられるやつがいいんじゃないかな」
情に厚い人格者が言ったなら、聞き流していたかもしれない。
でもうちのボスは、銀行あがりの営業責任者。
人間の価値を常に品定めする、ドライな功利主義の権化である。
****
仕事の後、新人さんと食事をした。
今後の採用と引継ぎについて話し合ううちに、
気づけば会社の辞め方について事細かに伺っていた。
賞与の査定がでるタイミング。有休の消化法。失業保険。退職願いと引継ぎの段取り。転職法。
流れでつい、自分も現在退職を考えていることまで話してしまう。
結婚を考えてる相手がいるので傍で生活したいが、
片道3万ほどかかるので仕事は続けられないと。
いつ、どのように切り出すべきか最近考えるようになったと。
すると彼女も、かつて1年ほど会社を辞めた後のんびりして、
結婚を考えたことがあったと話した。
今回も父親という不確定要素がなくなったので、
贅沢さえ言わなければ割合早く次の職が見つかるかもしれないと。
話していて思ったが、彼女の話も私の話も本当にありきたりの話だ。
看病のため一時的に会社を離れる。
結婚のため一時的に会社を離れる。
唯一無二の自分自身の人生で突然出くわすと対処法に困るものだが、
考えてみれば自分と同じ境遇の人はたくさんいる。
きっと、転職先の企業も分かってくれる。
「今回は色々と迷惑をかけて、本当に申し訳ありませんでした。
自分がこんなに弱いとは思わなかった」
そう言って頭を下げる新人さんに、私は苦笑を返した。
「正直このままずっと続けられていたら迷惑でしたが、
今回思い切ってくださってありがたかったです。
家族や環境の激変を前に、人間は意外ともろいものだと思いますし、
体を壊したり家族を犠牲にしてまで、仕事ってのは続けるもんじゃないです。
能力や性格がいくら今の仕事に向いていても、
死にそうな状況で必死に続けられたら私も対処に困ります。
一度ゆっくり休んで、お母様の傍にいてあげてください。
死ぬときの悔いが減りますよ。変な話ですが」
****
家に着くと、心の底からくたくたになっていた。
来週は広報の〆切りに加えて採用業務かよ〜と思うと、ちょっと気が重い。
でもPCを立ち上げればスクール仲間から花見の連絡が入っていて、
いつもどおり彼から電話もかかってくる。
立ち止まっても倒れても人生は続くし、それで何とかなっていく。
ゼロからの出発さえ恐れないなら、可能性は無限にある。
なんだかひとつ、やり遂げた感のある日だった。
「よかった、今日は出社か」と思うと同時に、私は首をかしげた。
・・・なにやってんの?
見るとボスは珍しく困り果てた顔で、新人は顔を赤らめ泣きそうな顔である。
許しを請う罪人のようにも見える。
「はよーございます☆どうかしたんですか?」
声をかけると新人はハッとしたように、ボスはホッとしたように振り返った。
****
やっと新人は、辞める決断をしてくれた。
いやー自分の下の人が辞めると聞いてこんなにホッとするのは初めて。
なんせ会社潰れて片親は死に片親は倒れ、本人も情緒・体調不安定。
異常な自己防衛本能と後ろ向きさ、卑屈さ。仕事ではなく自分へのプライド。
そんなヤツが、私よりも高給取り。←重要
2人体制でこれはツライ。
特に先月・今月と連ちゃんで休まれ、こっちも倒れそうだった。マジで。
人員補充は派遣で行うことになった。
今度は採用面接から入れてもらうことに。
私との相性が一番重要だし、一度採用面接はやってみたかったので嬉しい。
****
仕事中ボスに呼び出されて、ちょっと打ち合わせをした。
新人の辞めるタイミングや、採用の仕方、業務状況。
そんな中で、何故か結婚話に花が咲いた。
「相手が結婚相手に相応しいか、どこで見極めればいいと思いますか?」
先日父親にしたのと同じ問いを向けてみると、ボスは目を宙に泳がせた後、答えた。
「2人でずっと、仲良くいられることじゃないのかな」
「へっ!?」
功利&合理主義が服着て歩いてるようなボスの思わぬ発言に目を丸くすると、ボスは苦笑した。
「いちゃいちゃすることじゃないぞ?一緒にいて、仲良くできること」
「いや、分かってますけど・・・い、意外です。正直、何か条件をおっしゃるかと思った」
意外すぎて敬語がおかしくなる私に、ボスは笑って続けた。
「今の世の中、どんな条件も簡単に崩れるんだよ。
大きな企業だっていつ潰れるかわからないし、病気をするかもしれない。
結婚した翌日、そいつの父親が人を殺すかもしれない。
条件は過去の結果で、結婚は未来への話だろ?
たとえゼロからでも、たとえば清掃業だったりリサイクルショップだったり、
元手がかからない商売なんてたくさんあるんだ。
1日いくらで、マスを相手にすれば驚くほど儲かるんだぞ?
皆汚いとか言ってやりたがらないが、
俺に言わせりゃあっちのほうが、うちの会社員より全然割が合うしまともだよ。
綺麗なオフィスで一日中パソコンの前に座って安月給。
給料に見合う工夫の仕様もない。自分の考えた商売じゃないから」
「へー 重要なのはゼロから出発できるだけのガッツがあることですか?」
「いや・・・ガッツってのも難しいんだ。
普段全然頼りなくても、いざとなった時強いやつもいれば、
普段は偉そうにしていても、挫折にトンと弱いやつもいる。
要はそいつの本質だな。
性根がよくて、仲良く一緒にいられるやつがいいんじゃないかな」
情に厚い人格者が言ったなら、聞き流していたかもしれない。
でもうちのボスは、銀行あがりの営業責任者。
人間の価値を常に品定めする、ドライな功利主義の権化である。
****
仕事の後、新人さんと食事をした。
今後の採用と引継ぎについて話し合ううちに、
気づけば会社の辞め方について事細かに伺っていた。
賞与の査定がでるタイミング。有休の消化法。失業保険。退職願いと引継ぎの段取り。転職法。
流れでつい、自分も現在退職を考えていることまで話してしまう。
結婚を考えてる相手がいるので傍で生活したいが、
片道3万ほどかかるので仕事は続けられないと。
いつ、どのように切り出すべきか最近考えるようになったと。
すると彼女も、かつて1年ほど会社を辞めた後のんびりして、
結婚を考えたことがあったと話した。
今回も父親という不確定要素がなくなったので、
贅沢さえ言わなければ割合早く次の職が見つかるかもしれないと。
話していて思ったが、彼女の話も私の話も本当にありきたりの話だ。
看病のため一時的に会社を離れる。
結婚のため一時的に会社を離れる。
唯一無二の自分自身の人生で突然出くわすと対処法に困るものだが、
考えてみれば自分と同じ境遇の人はたくさんいる。
きっと、転職先の企業も分かってくれる。
「今回は色々と迷惑をかけて、本当に申し訳ありませんでした。
自分がこんなに弱いとは思わなかった」
そう言って頭を下げる新人さんに、私は苦笑を返した。
「正直このままずっと続けられていたら迷惑でしたが、
今回思い切ってくださってありがたかったです。
家族や環境の激変を前に、人間は意外ともろいものだと思いますし、
体を壊したり家族を犠牲にしてまで、仕事ってのは続けるもんじゃないです。
能力や性格がいくら今の仕事に向いていても、
死にそうな状況で必死に続けられたら私も対処に困ります。
一度ゆっくり休んで、お母様の傍にいてあげてください。
死ぬときの悔いが減りますよ。変な話ですが」
****
家に着くと、心の底からくたくたになっていた。
来週は広報の〆切りに加えて採用業務かよ〜と思うと、ちょっと気が重い。
でもPCを立ち上げればスクール仲間から花見の連絡が入っていて、
いつもどおり彼から電話もかかってくる。
立ち止まっても倒れても人生は続くし、それで何とかなっていく。
ゼロからの出発さえ恐れないなら、可能性は無限にある。
なんだかひとつ、やり遂げた感のある日だった。
出会った頃から、うちの彼は上司のグチになると長い。
正直、今まで私は彼のそういったグチを「甘い」と思っていた。
いわく、上司の連絡ミスで失敗したとき庇うどころか泥をぶっかけられたとか。
いわく、自分のミスで上司が叱られたとき、4時間の説教を食らったとか。
いわく、仕事を丸投げされるわフォローはしないわ小間使いとして使われっぱなしとか。
先日結婚や転職について話したとき彼は、
「俺も転職するかも」
と呟いた。
今回の出向は上司の都合によるもので、彼の専門分野とは関係がない。
また研究所と違って現地採用の工場職員が同僚となる。
研究所と兼任だし、現場を知って学ばせる会社の意図があるのかもしれないが、
工場であの上司と一対一だと利用され、潰されて終わる気がする。
***
部下に上司を選ぶ権利はないが、彼らは教育や評価など絶大な影響力を持つ。
上司は職場の環境。
雨に怒っても仕方ないように、上司に怒っても仕方ない。
上司の癖を知って上手く適応するのも、部下の務め。給料のうち。
それが、私の持論だった。
しかし昨日パートさんに話を聞いてから思ったのだが・・・
「環境に不満を持ってもしょうがない」って、単に私が上司に恵まれてたから言えるんじゃね?
今まで私は4人の直属上司を持ったことがある。
介護棟の婦長、一般居室対応の課長、新規施設の施設長、そして今のボス。
婦長と課長は職業柄情に厚く、サービスを教育する上で性格まで口出ししたり、
施設長とボスは銀行出身だけにドライで結果主義だったり4人4色だったが、
考えてみればいくつか共通項がある。
部下を成長させる気があること。それを己の仕事と自負していること。
自分の仕事に誇りをもっていること。自分が部下の手本となる気満々のこと。
ミスをしてもこちらが十分反省していれば、長々と怒らなかったこと。
でも小さなミスでも原因と対策を考えさせ、その後上司自身の答えを示すこと。
仕事と人間性は切り離して考えること。プライベートまで、決して口を出さないこと。
適正ゼロで仕事ができなくても大きなミスをしても、人間として私を否定しなかったこと。
人としてソリが合わなくても、努力は認め評価してもらえたこと。(約一名)
社会人になってから出会った直属の上司が皆そうだったので、
上司というものは皆、仕事好きで公平で、部下に責任感があるものだと思っていた。
パワハラやセクハラなんてピンと来なかったし、上司を嫌ったことも一度もなかった。
でも、パートさんは上司に責任を擦り付けられたことに腹を立て、辞めるという。
彼氏はいつも上司に自分を育てる気がないこと、
道具として利用され踏み台として使い潰されそうだと嘆いている。
彼はまだ社会に出て1年くらいの未熟な社会人だし、
計画力や考え方を「甘い」と感じることも多々ある。
でも、もし彼の上司が私の知っている上司たちと違い、
本当に彼を育てる気がなかったとしたら?
「俺の言うことだけ聞いてりゃいいんだよ」
かつて彼が上司に言われたセリフ。
私の上司達なら、「この仕事は」という前置き抜きに決して口にしないだろう。
だって、人間は道具じゃないから。
部下には部下の人生があり、上司の権限は会社の中だけのものだから。
会社を出れば、上司も部下も対等な人間なんだから。
「夜中に仕事を終えてデスクに戻ると、上司の発送業務が机にあるんだよね。
発送って、単に紙に書いて封筒に入れるだけだよ?
俺に押し付けて、自分は先に帰ってるの。
10時過ぎに寮に帰ると、もう夕食もないんだよね。
まるで奴隷みたいだ」
「その上司は、社内でどう評価されているの?よく聞く褒め言葉や、貶し言葉はある?」
「先輩からは『使い潰されるなよ』って言われたよ。
そいつの部下は使い潰されて、辞めるか現場に飛ばされるからしい。
ほめ言葉は、あんまり聴いたことがないな。
社会人としての形はできてるし、成果主義で仕事もできるんだろうけど、
研究所に配属されてから一度も、あいつが実験してるところを見たことがない。
あいつは研究者じゃなくて、ビジネスマンだよ。技術営業の方が向いてる」
****
上司は環境だから。
雨に怒っても仕方ない。
次から傘を持っていくしかない。
でも・・・もし仮に、その環境がとても耐え切れないものだったら?
生活できないくらい暑かったり、日々凌ぐだけで精一杯だったらとしたら?
以前辞めた同僚もパートさんも、辞表を出してからは晴れ晴れとしていた。
年も仕事内容も違うのに、言うことはほぼ同じだった。
「辞めると決めて切り出したら、体調がよくなったんですよ。
頭だと、どうやって対策を立てて凌ごうか考えちゃうんですけど、
体はもう、この環境から抜け出したくって仕方なかったみたい。
上司に責任を擦り付けられないよう疑心暗鬼になったり、
不規則な仕事で体を壊さぬよう注意深く体調管理したり。
人生すり減らして続けるほど、仕事に価値があるとは思えない」
正直、今まで私は彼のそういったグチを「甘い」と思っていた。
いわく、上司の連絡ミスで失敗したとき庇うどころか泥をぶっかけられたとか。
いわく、自分のミスで上司が叱られたとき、4時間の説教を食らったとか。
いわく、仕事を丸投げされるわフォローはしないわ小間使いとして使われっぱなしとか。
先日結婚や転職について話したとき彼は、
「俺も転職するかも」
と呟いた。
今回の出向は上司の都合によるもので、彼の専門分野とは関係がない。
また研究所と違って現地採用の工場職員が同僚となる。
研究所と兼任だし、現場を知って学ばせる会社の意図があるのかもしれないが、
工場であの上司と一対一だと利用され、潰されて終わる気がする。
***
部下に上司を選ぶ権利はないが、彼らは教育や評価など絶大な影響力を持つ。
上司は職場の環境。
雨に怒っても仕方ないように、上司に怒っても仕方ない。
上司の癖を知って上手く適応するのも、部下の務め。給料のうち。
それが、私の持論だった。
しかし昨日パートさんに話を聞いてから思ったのだが・・・
「環境に不満を持ってもしょうがない」って、単に私が上司に恵まれてたから言えるんじゃね?
今まで私は4人の直属上司を持ったことがある。
介護棟の婦長、一般居室対応の課長、新規施設の施設長、そして今のボス。
婦長と課長は職業柄情に厚く、サービスを教育する上で性格まで口出ししたり、
施設長とボスは銀行出身だけにドライで結果主義だったり4人4色だったが、
考えてみればいくつか共通項がある。
部下を成長させる気があること。それを己の仕事と自負していること。
自分の仕事に誇りをもっていること。自分が部下の手本となる気満々のこと。
ミスをしてもこちらが十分反省していれば、長々と怒らなかったこと。
でも小さなミスでも原因と対策を考えさせ、その後上司自身の答えを示すこと。
仕事と人間性は切り離して考えること。プライベートまで、決して口を出さないこと。
適正ゼロで仕事ができなくても大きなミスをしても、人間として私を否定しなかったこと。
人としてソリが合わなくても、努力は認め評価してもらえたこと。(約一名)
社会人になってから出会った直属の上司が皆そうだったので、
上司というものは皆、仕事好きで公平で、部下に責任感があるものだと思っていた。
パワハラやセクハラなんてピンと来なかったし、上司を嫌ったことも一度もなかった。
でも、パートさんは上司に責任を擦り付けられたことに腹を立て、辞めるという。
彼氏はいつも上司に自分を育てる気がないこと、
道具として利用され踏み台として使い潰されそうだと嘆いている。
彼はまだ社会に出て1年くらいの未熟な社会人だし、
計画力や考え方を「甘い」と感じることも多々ある。
でも、もし彼の上司が私の知っている上司たちと違い、
本当に彼を育てる気がなかったとしたら?
「俺の言うことだけ聞いてりゃいいんだよ」
かつて彼が上司に言われたセリフ。
私の上司達なら、「この仕事は」という前置き抜きに決して口にしないだろう。
だって、人間は道具じゃないから。
部下には部下の人生があり、上司の権限は会社の中だけのものだから。
会社を出れば、上司も部下も対等な人間なんだから。
「夜中に仕事を終えてデスクに戻ると、上司の発送業務が机にあるんだよね。
発送って、単に紙に書いて封筒に入れるだけだよ?
俺に押し付けて、自分は先に帰ってるの。
10時過ぎに寮に帰ると、もう夕食もないんだよね。
まるで奴隷みたいだ」
「その上司は、社内でどう評価されているの?よく聞く褒め言葉や、貶し言葉はある?」
「先輩からは『使い潰されるなよ』って言われたよ。
そいつの部下は使い潰されて、辞めるか現場に飛ばされるからしい。
ほめ言葉は、あんまり聴いたことがないな。
社会人としての形はできてるし、成果主義で仕事もできるんだろうけど、
研究所に配属されてから一度も、あいつが実験してるところを見たことがない。
あいつは研究者じゃなくて、ビジネスマンだよ。技術営業の方が向いてる」
****
上司は環境だから。
雨に怒っても仕方ない。
次から傘を持っていくしかない。
でも・・・もし仮に、その環境がとても耐え切れないものだったら?
生活できないくらい暑かったり、日々凌ぐだけで精一杯だったらとしたら?
以前辞めた同僚もパートさんも、辞表を出してからは晴れ晴れとしていた。
年も仕事内容も違うのに、言うことはほぼ同じだった。
「辞めると決めて切り出したら、体調がよくなったんですよ。
頭だと、どうやって対策を立てて凌ごうか考えちゃうんですけど、
体はもう、この環境から抜け出したくって仕方なかったみたい。
上司に責任を擦り付けられないよう疑心暗鬼になったり、
不規則な仕事で体を壊さぬよう注意深く体調管理したり。
人生すり減らして続けるほど、仕事に価値があるとは思えない」
仲のよかったパートさんが、来月頭で辞めることになった。
本人から直接伺ったわけではないので理由は聞かなかったが、
興味や関心が近い人が辞めるのは非常に残念。
ところで、月曜から39歳新人は体調不良でずっと休み。
明日木曜は春分の日で休みである。うわお。
会社が潰れたり父親が亡くなったり母親が倒れたりと、可愛そうだし同情もするが、
先月は忌引で1週間、その後も母や自分の体調で週に2日は休んでいる。
二人部署のうち一人が休みまくるとものすっごい辛い。
特に今、広報紙と会社のHP作成が修羅場だし。
新人いわく「1日中いっぱいいっぱいなんです〜」な仕事量を片手間に処理し、
上司や重役共の要求、現場からの相談、数々の営業電話を捌きながら、
広報紙とHPの原稿を現場から必死にかき集める。
ああ有能な自分が悲しい・・・!
なんでこの私があの新人より安月給なんだ!
パートや派遣ならともかく、正社員だったらもっと向上心持てよ!
プライベートが大変な時こそ、仕事で挽回しようとガッツを見せろよ!
言われたことだけやるなら、バイトで十分なんだよ!!
正社員なら会社を作っていく気概を持ってくれ!!
・・・と、怒り沸々、猛スピードで仕事を片付けていたら、隣のパートさんがフッと笑った。
「桂さん、たまってますねえ」
「ええ。物事には限度がありますからね。我慢の限界です」
「奇遇ですね、私もです」
え?と隣を見ると、彼女はディスプレイを見つめながら続けた。
「会社の人員体制がおかしいのに、上司はそれを正そうとはせずに、
目の前にいる部下に大量の仕事を押し付けるんですよね。
私なんて仕方がないと思ってやってたら、責任まで押し付けられた。
馬鹿馬鹿しくって、やってられませんよ」
「お昼休み、久々に外で食べませんか?」
お弁当を持ってきていたが、そう声をかけると、彼女は無言で力強くうなずいた。
****
いやあ、話した話した。
会社や上司への不満、レストランの片隅で大爆発。
どうやら彼女が突然やめることになったのは、
連絡ミスによる仕事の失敗の責任を上司に押し付けられたためらしい。
「引継ぎのとき、前任者にも言われたんですよ。
言った言わないの問題になりやすいから、逐一発言をメモしたほうがいいって。
でも、そんなことしたくないじゃないですか。
私も桂さんと同じで、人員体制や上司の昇進で仕事量は増える一方だったんです。
でもまあ、仕事が多いのは仕方ないと思ってたんですよ。
昇進してから上司の仕事量が激増したのは事実だし、
重要なものも多いから頼られてるのかなって嬉しかったんです。
でも今回の件ではっきりしたんですよ。
こいつら、私を頼ってるんじゃなくて、利用してるんだって。
正社員なら、まだ仕方ないかもしれませんよ?
でも私、パートなんですよ!?
自分の都合が悪くなると、パートに失敗の責任を押し付ける重役。
なんてヤツだって失望しましたよ。この会社を見限ったんです」
怒りを爆発させる彼女に、私は頷いた。
「パートと正社員の違いって重要ですよね。
私も今、39歳新人のことで毎日ムカムカしてるんです。
かわいそうだとは思いますが、ぶっちゃけよくある話じゃないですか。
まるで自分が特別可愛そうな人間のように、卑屈で甘ったれてるのが気に喰わない。
理由はどうあれ、同僚に迷惑をかけてるのが事実なら、仕事で挽回しろよって思う。
パートや派遣なら分かるが、てめえ正社員だろって張り倒したくなります。
自分じゃなくて、仕事にプライド持てよ!
干支は一回り以上先で、社会人暦は私の三倍以上あるのに!
アレで自分より給料もらってるかと思うと腹立ってしょーがない!」
会話はかみ合っていないが、まったく問題なし。
言いたくても言えなかった不満をぶちまける快感。
互いにある程度、相手の現状が分かっており、会話が漏れる心配がないのもミソだ。
そんなこんなで不満をぶちまけあった後は、妙とすっきりして何故か恋話に花が咲いた。
「まあどうせ、私も今年中にやめて引越しますけどね!」
「あら、実家でも帰るんですか?」
「いえ、彼氏のところに」
「あら!遠恋なんですか?」
「はい」
「へぇー 私も旦那とは3年くらい遠恋しましたよ」
「そうだったんですか?確か高校の同級生では?」
「いえ、同級ではあったけど、卒業まで特に関わりはなかったんです・・・」
そして始まる、パートさん(50代)のご夫婦馴れ初め。
相手の強烈な一目ぼれで始まったこと、
だから初め「正気か!?」と不安になり周囲に聞き込み調査をしたことや、
今も妄想トークで盛り上がり会話が絶えることがないとか、
共通項が結構あって面白かった。
あー 本当、彼女が辞めるのは残念だ。
なんか最近とみに、会社にいる社員の質が落ちてる気がするなあ。。。
本人から直接伺ったわけではないので理由は聞かなかったが、
興味や関心が近い人が辞めるのは非常に残念。
ところで、月曜から39歳新人は体調不良でずっと休み。
明日木曜は春分の日で休みである。うわお。
会社が潰れたり父親が亡くなったり母親が倒れたりと、可愛そうだし同情もするが、
先月は忌引で1週間、その後も母や自分の体調で週に2日は休んでいる。
二人部署のうち一人が休みまくるとものすっごい辛い。
特に今、広報紙と会社のHP作成が修羅場だし。
新人いわく「1日中いっぱいいっぱいなんです〜」な仕事量を片手間に処理し、
上司や重役共の要求、現場からの相談、数々の営業電話を捌きながら、
広報紙とHPの原稿を現場から必死にかき集める。
ああ有能な自分が悲しい・・・!
なんでこの私があの新人より安月給なんだ!
パートや派遣ならともかく、正社員だったらもっと向上心持てよ!
プライベートが大変な時こそ、仕事で挽回しようとガッツを見せろよ!
言われたことだけやるなら、バイトで十分なんだよ!!
正社員なら会社を作っていく気概を持ってくれ!!
・・・と、怒り沸々、猛スピードで仕事を片付けていたら、隣のパートさんがフッと笑った。
「桂さん、たまってますねえ」
「ええ。物事には限度がありますからね。我慢の限界です」
「奇遇ですね、私もです」
え?と隣を見ると、彼女はディスプレイを見つめながら続けた。
「会社の人員体制がおかしいのに、上司はそれを正そうとはせずに、
目の前にいる部下に大量の仕事を押し付けるんですよね。
私なんて仕方がないと思ってやってたら、責任まで押し付けられた。
馬鹿馬鹿しくって、やってられませんよ」
「お昼休み、久々に外で食べませんか?」
お弁当を持ってきていたが、そう声をかけると、彼女は無言で力強くうなずいた。
****
いやあ、話した話した。
会社や上司への不満、レストランの片隅で大爆発。
どうやら彼女が突然やめることになったのは、
連絡ミスによる仕事の失敗の責任を上司に押し付けられたためらしい。
「引継ぎのとき、前任者にも言われたんですよ。
言った言わないの問題になりやすいから、逐一発言をメモしたほうがいいって。
でも、そんなことしたくないじゃないですか。
私も桂さんと同じで、人員体制や上司の昇進で仕事量は増える一方だったんです。
でもまあ、仕事が多いのは仕方ないと思ってたんですよ。
昇進してから上司の仕事量が激増したのは事実だし、
重要なものも多いから頼られてるのかなって嬉しかったんです。
でも今回の件ではっきりしたんですよ。
こいつら、私を頼ってるんじゃなくて、利用してるんだって。
正社員なら、まだ仕方ないかもしれませんよ?
でも私、パートなんですよ!?
自分の都合が悪くなると、パートに失敗の責任を押し付ける重役。
なんてヤツだって失望しましたよ。この会社を見限ったんです」
怒りを爆発させる彼女に、私は頷いた。
「パートと正社員の違いって重要ですよね。
私も今、39歳新人のことで毎日ムカムカしてるんです。
かわいそうだとは思いますが、ぶっちゃけよくある話じゃないですか。
まるで自分が特別可愛そうな人間のように、卑屈で甘ったれてるのが気に喰わない。
理由はどうあれ、同僚に迷惑をかけてるのが事実なら、仕事で挽回しろよって思う。
パートや派遣なら分かるが、てめえ正社員だろって張り倒したくなります。
自分じゃなくて、仕事にプライド持てよ!
干支は一回り以上先で、社会人暦は私の三倍以上あるのに!
アレで自分より給料もらってるかと思うと腹立ってしょーがない!」
会話はかみ合っていないが、まったく問題なし。
言いたくても言えなかった不満をぶちまける快感。
互いにある程度、相手の現状が分かっており、会話が漏れる心配がないのもミソだ。
そんなこんなで不満をぶちまけあった後は、妙とすっきりして何故か恋話に花が咲いた。
「まあどうせ、私も今年中にやめて引越しますけどね!」
「あら、実家でも帰るんですか?」
「いえ、彼氏のところに」
「あら!遠恋なんですか?」
「はい」
「へぇー 私も旦那とは3年くらい遠恋しましたよ」
「そうだったんですか?確か高校の同級生では?」
「いえ、同級ではあったけど、卒業まで特に関わりはなかったんです・・・」
そして始まる、パートさん(50代)のご夫婦馴れ初め。
相手の強烈な一目ぼれで始まったこと、
だから初め「正気か!?」と不安になり周囲に聞き込み調査をしたことや、
今も妄想トークで盛り上がり会話が絶えることがないとか、
共通項が結構あって面白かった。
あー 本当、彼女が辞めるのは残念だ。
なんか最近とみに、会社にいる社員の質が落ちてる気がするなあ。。。
最近私の頭を悩ます二つの言葉。
結婚 転職
さすがにもう、する・しないの段階ではないとして・・・
どのタイミングでどう動くか?
いろいろ考えて、出した結論。
小細工は苦手なので、直接彼の意見を聞いてみることにした。
****
あのさ、あなたは本当に私と結婚するつもりがある?
――当たり前じゃん。
それ聞いて安心した。
正直私は結婚自体、数年先でも全然かまわないんだけど、
今年中にどうしても転職したいんだよね。
だからもしあなたが「結婚」を近い将来の予定として考えてるなら、
今年中にする転職から、結婚に向けて動き出したいのよ。
じゃないと、せっかく転職しても、またすぐやり直すハメになりかねないじゃん?
ただ、具体的に動き始めるとなると、もはや2人だけじゃなくて、
互いの親を巻き込むことになるけど、問題ない?
簡単に巻き戻しはきかなくなるよ?
――問題ない。というか、そのほうがいいじゃん。
いい答えだ。
で、ちょっと調べてみたんだけど・・・もし関西にU・・・てかJ?ターンするなら、
一度すっぱり仕事をやめてからのほうがいいと思う。
在職中だと平日の面接が厳しくなるし、交通費も馬鹿にならない。
ライバル達と比べて情報面でも採用面でもハンデが大きくなる。
引継ぎに時間もかかりそうだし、一度じっくり腰を落ち着けて転職先を考えたいの。
で、辞めたら一度あなたと一緒に住んでみたい。
もし結婚を前提に考えるなら、遠距離から始まってる以上、お試し期間は絶対必要だと思う。
――それは、問題ないけど・・・九州だと鷹子が望む仕事はないかもよ?
俺に気を使って将来を曲げないで欲しいんだけど。
いや、転職は神戸でするよ。
ずっと九州に住む気はないんでしょ?
――うん。俺は絶対、神戸に戻る。
だから、一ヶ月間と予め期間を区切って行くよ。
で、その後神戸で転職するとき・・・できればあなたの実家で下宿させて欲しいんだ。
将来的に同居するつもりがあるのなら、互いの癖を知っておきたいし、
転職先を決める前に住処を決めるのは賢くないと思うんだよね。
勤務地近くに住みたいし、住宅手当や寮制度があるかもしれないし、
引越し費用や敷金礼金もバカにならないしさ。
――問題ないよ。だとしたら、もう一度実家に行ったほうがいいよね。
頼むときは、俺から切り出すよ。そのほうがいいと思う。
ありがとう。
正直言って、同棲するとズルズル行きそうで、それが怖いの。
だから予め一ヶ月と期間を決めて、その後の行き先も決めておきたいんだよね。
あなたの実家なら、世話になって悪いから、
早く出るために一生懸命転職活動に励むだろうし、
常にオフィシャルモードでいるのは活動にプラスだと思うんだ。
――うん。正直、俺もズルズルいっちゃうのが不安だったんだ。
電話をするたびに、親には「彼女どうするの?」って聞かれるよ。
結婚を前提に転職するため協力して欲しいと言えば、嫌とは言わないと思う。
非常識な女だ、って思われないことを祈るけど・・・。
で、もしこのプランで行くことが決定したら、一度うちの親に会ってみない?
こないだ間接的に父親に聞いてみたら、あんまりうるさく言わなそうな感じだったし、
親御さんも私の親が交際についてしらないことを、気にされてるんでしょ?
うちの親は確かにいろいろ問題ある人だけど、
私が将来のため正しい努力するのは絶対邪魔しないし、
いざというとき支援もしてくれると思うよ。
――一体何を言ったの?
※昨夜の会話を伝える
――ふうん。なんか、距離をきちんと置けば面白そうな人だね。
考え方が俺に似てる。「寂しい」って言ってるようにも聞こえるけど。
会うなら、九州に来る前に会ったほうがいいんだろうな。
まあ、距離を置ければね・・・。
私は5月・6月にTOEIC受けて、7月のボーナス受け取ったら退職を切り出すから、
その時までにあなたも今の仕事を続けるか決めて欲しいのよ。
(※状況しだいでは俺も転職するかも等の発言が途中にあり)
個人的には、あなたも転職してくれたらうれしいけど。
なるべく近くに住みたいわ。
――わかった。
まあ何のために俺が出向することになったのか、掴めたら判断するよ。
親も彼女と一緒に住めって言うと思うし。
いずれにせよ俺はずっと九州にいるつもりはないし、神戸には必ず戻るから。
****
あ―― すっきりした。
一年間の未来予想図。
もちろん状況次第でいろいろ変わるとは思うけど、
ひとまずこれで英語の勉強に集中できる。
すっきりしたはずなのに、興奮して眠れなかった。(で、日記を書いている)
この時のために1年近く転職が延び延びになったんかなーと運命を感じると同時に、
今更ながらに自分の計画力にあきれ返った。
まあ計画は実行しなければ、実行したからには成功しなければ、
どれほど見事であっても絵に描いた餅に同じなんだけど・・・。
今週末彼と会うのが、来月末九州の家を訪ねるのが、彼と一緒に住める日が、
自己実現に向けた仕事と、生涯の伴侶をを両手に持つ日が楽しみである。
楽しみだから、きっとがんばれる。
結婚 転職
さすがにもう、する・しないの段階ではないとして・・・
どのタイミングでどう動くか?
いろいろ考えて、出した結論。
小細工は苦手なので、直接彼の意見を聞いてみることにした。
****
あのさ、あなたは本当に私と結婚するつもりがある?
――当たり前じゃん。
それ聞いて安心した。
正直私は結婚自体、数年先でも全然かまわないんだけど、
今年中にどうしても転職したいんだよね。
だからもしあなたが「結婚」を近い将来の予定として考えてるなら、
今年中にする転職から、結婚に向けて動き出したいのよ。
じゃないと、せっかく転職しても、またすぐやり直すハメになりかねないじゃん?
ただ、具体的に動き始めるとなると、もはや2人だけじゃなくて、
互いの親を巻き込むことになるけど、問題ない?
簡単に巻き戻しはきかなくなるよ?
――問題ない。というか、そのほうがいいじゃん。
いい答えだ。
で、ちょっと調べてみたんだけど・・・もし関西にU・・・てかJ?ターンするなら、
一度すっぱり仕事をやめてからのほうがいいと思う。
在職中だと平日の面接が厳しくなるし、交通費も馬鹿にならない。
ライバル達と比べて情報面でも採用面でもハンデが大きくなる。
引継ぎに時間もかかりそうだし、一度じっくり腰を落ち着けて転職先を考えたいの。
で、辞めたら一度あなたと一緒に住んでみたい。
もし結婚を前提に考えるなら、遠距離から始まってる以上、お試し期間は絶対必要だと思う。
――それは、問題ないけど・・・九州だと鷹子が望む仕事はないかもよ?
俺に気を使って将来を曲げないで欲しいんだけど。
いや、転職は神戸でするよ。
ずっと九州に住む気はないんでしょ?
――うん。俺は絶対、神戸に戻る。
だから、一ヶ月間と予め期間を区切って行くよ。
で、その後神戸で転職するとき・・・できればあなたの実家で下宿させて欲しいんだ。
将来的に同居するつもりがあるのなら、互いの癖を知っておきたいし、
転職先を決める前に住処を決めるのは賢くないと思うんだよね。
勤務地近くに住みたいし、住宅手当や寮制度があるかもしれないし、
引越し費用や敷金礼金もバカにならないしさ。
――問題ないよ。だとしたら、もう一度実家に行ったほうがいいよね。
頼むときは、俺から切り出すよ。そのほうがいいと思う。
ありがとう。
正直言って、同棲するとズルズル行きそうで、それが怖いの。
だから予め一ヶ月と期間を決めて、その後の行き先も決めておきたいんだよね。
あなたの実家なら、世話になって悪いから、
早く出るために一生懸命転職活動に励むだろうし、
常にオフィシャルモードでいるのは活動にプラスだと思うんだ。
――うん。正直、俺もズルズルいっちゃうのが不安だったんだ。
電話をするたびに、親には「彼女どうするの?」って聞かれるよ。
結婚を前提に転職するため協力して欲しいと言えば、嫌とは言わないと思う。
非常識な女だ、って思われないことを祈るけど・・・。
で、もしこのプランで行くことが決定したら、一度うちの親に会ってみない?
こないだ間接的に父親に聞いてみたら、あんまりうるさく言わなそうな感じだったし、
親御さんも私の親が交際についてしらないことを、気にされてるんでしょ?
うちの親は確かにいろいろ問題ある人だけど、
私が将来のため正しい努力するのは絶対邪魔しないし、
いざというとき支援もしてくれると思うよ。
――一体何を言ったの?
※昨夜の会話を伝える
――ふうん。なんか、距離をきちんと置けば面白そうな人だね。
考え方が俺に似てる。「寂しい」って言ってるようにも聞こえるけど。
会うなら、九州に来る前に会ったほうがいいんだろうな。
まあ、距離を置ければね・・・。
私は5月・6月にTOEIC受けて、7月のボーナス受け取ったら退職を切り出すから、
その時までにあなたも今の仕事を続けるか決めて欲しいのよ。
(※状況しだいでは俺も転職するかも等の発言が途中にあり)
個人的には、あなたも転職してくれたらうれしいけど。
なるべく近くに住みたいわ。
――わかった。
まあ何のために俺が出向することになったのか、掴めたら判断するよ。
親も彼女と一緒に住めって言うと思うし。
いずれにせよ俺はずっと九州にいるつもりはないし、神戸には必ず戻るから。
****
あ―― すっきりした。
一年間の未来予想図。
もちろん状況次第でいろいろ変わるとは思うけど、
ひとまずこれで英語の勉強に集中できる。
すっきりしたはずなのに、興奮して眠れなかった。(で、日記を書いている)
この時のために1年近く転職が延び延びになったんかなーと運命を感じると同時に、
今更ながらに自分の計画力にあきれ返った。
まあ計画は実行しなければ、実行したからには成功しなければ、
どれほど見事であっても絵に描いた餅に同じなんだけど・・・。
今週末彼と会うのが、来月末九州の家を訪ねるのが、彼と一緒に住める日が、
自己実現に向けた仕事と、生涯の伴侶をを両手に持つ日が楽しみである。
楽しみだから、きっとがんばれる。
![]() | ナラタージュ (角川文庫 し 36-1) (2008/02) 島本 理生 商品詳細を見る |
逆光で表情の見えない、白いワンピースの女性。
外の緑を透かした窓、黒い窓枠にタイトル文字。
表紙に惹かれて手に取った。
「早熟な天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学」
裏表紙の一節が引っかかり、ぺらっとめくって作者の経歴を確認する。
「高校在校中に、芥川賞候補」「1983年生まれ」
早 熟 す ぎ だ ろ。いくらなんでも。
ていうか、年下!?
というわけで表紙に釣られ、作者に食いつき、読んでみたのだが。
いやー 久々に面白い小説読んだ。
これ書いた時、作者大学生。21歳。ほんと、信じられん。
鋭利な感性が、今後ますます成熟していくかと思うと楽しみだ。
以下、ネタばれを大量に含む感想。
※未読で読む予定がある方は絶対読まないほうがいいです
****
一人称と思えぬほど情景描写が丁寧なのに読みやすく、
展開も若干間延びするところはあるけれど、
後半のクライマックスは素晴らしく全体を通じて飽きさせない。
総じて丁寧。
作者いわく最後まで台詞や言葉を見直したらしいが、頷ける。
ただこの小説の一番の魅力は、紹介文にある通り人物の恋愛描写だと思う。
人物はみな「どこかで見た彼・彼女」って感じで普通(典型的)なのだが、
みんなほんっと「恋愛」してる。
恋愛相手にしか見せない一面、我知らずさらけ出してしまう一面、
暗黒と自己犠牲、激情に卑怯さ。
自分でびっくり、なんだこりゃ! っていう アレ がよく描けてる。
特にリアルだなーと感じたのが小野君。
一見器用で社交的なソツのない人なのに、
付き合ってみると嫉妬心やSっ気がものすごい。
ぼそっと「来年の夏になったら、一緒に海に行きたいな」とつぶやいてみたり、
「俺のこと、嫌いになったかと思った」「急にいなくなったりしないよな」、
「もしも俺が迎えに行くって言ったら、もっと俺のことを好きになってくれる?」
「その呼び方、もうやめろよ。三ヶ月付き合って小野君はないだろう」
ああもう!なまじ社交性のある人なだけに!
言葉の端々から、すっっっごく「惚れた弱み」が伝わってくる!
ていうか なんか…言動がところどころ、うちの彼に似てる気が。
「夏になったら、秋になったら、来年は」(それまで一緒にいようね)
「下の名前で読んでいい?」「俺だけの呼び名が欲しい」(特別になりたい)
「捕まえた」「逃がさない」「離れたくない」(一緒にいたい)
「俺は、鷹子の何?」「鷹子は俺のもの」(俺たち、恋人同士だよね)
あー 要するに彼は不安だったのね、と今更ながら小説に学ぶ…。
(携帯や手帳を見てないことを祈る・汗)
葉山先生も、なんか典型的な妻と上手く行ってない魅力的な中年…。
年下の女の子を助けて慕われて喰っちゃってー
「君だけには甘えられる」とか文字通り甘い言葉で、
無意識に相手をぼろぼろになるまで利用しちゃってー
主人公と奥さんを天秤にかけたとき、
「俺では君を幸せにできない」「必要なことをしてあげられない」
とか訳ワカメな言い訳を繰り出すあたりほんっとちょいワル中年。
意訳すると「俺は何も失う気がないから、お前には何もしてれやれん」。
つーか、それ以前にお前は自分が既婚であることを公にしろよ!
直後の主人公・怒りの咆哮はしごくごもっともである。
でも本当、既婚中年の本音ってこんなもんだよなー。
結婚すると人生が2人になるから、大きな輪の一部になるから。
若くて可愛い女の子に好きとか愛してるとか言われたら、
理屈以外のところで認められたようで嬉しいけれど、
家庭外恋愛はあくまで人生の彩り。人生そのものじゃない。
何も失う気のない中年は、相手から何も奪わないよう注意しよう!
相手に決して期待させず、去るものを追わないのが不倫のルール!
だと思うのだが・・・この葉山氏は・・・。
何も最後にトドメの一撃を喰らわせることはないだろう、
お前は悪魔か、と読みながら突っ込んでしまった。
そして主人公・泉。
なんか本当、痛々しい・・・。
善良で内向的、無邪気で心丸出し、ぼんやりしたドM。
無邪気な子供と感情豊かな女性的が内面に共存していて、
恋愛絡むと無邪気で残酷な激情家・エキセントリック泉になる。
「小野君」はほんと可愛そうだから・・・。
冗談めかして必死に、下の名前で呼んでって頼んでたじゃん!
好きな人いても交際受けた手前、そのくらい聞いてやれよ!
あの土下座もマジでいかがなものかと思う。
「そこまであいつが好きなのか」プラス土下座要求したことも相まって、
罪悪感と惨めさで内面ぐちゃぐちゃになること確実。
片思いの女性に別れてくれと土下座された男。一生トラウマだろう。
風邪で休んだ葉山先生探して町中さまようストーカー。
「先生に呼ばれた気がする」って…!
それで土下座して男のピュア・ハート滅多切りって…!
先生!電波がぎゅんぎゅんしてます!
ただ・・・こーいう子、いるよなあ。
純真無垢で一生懸命で、恋が絡むと感性が研ぎ澄まされる。
傍から見てると電波だけど、存外当たる第六感。
好きな男の前だと、話す言葉も内容量も3倍。
そのプレゼン力を普段の生活でも生かせと言いたい。
****
と、なんだかボロクソに書いてしまったが、皆「どこかで見た彼・彼女」。
描き方が自然で、行間にある感情や思考がわかりやすいから、
読んでいて実在する彼らの顔や行動を思い出す。
恋愛の普遍的な面を丁寧かつ自然に描いているから、
幅広い読者層に支持されるんだろうと思った。
久々にかかってきた父親からの離婚相談電話が、
恋愛・結婚のマジトークに発展してしまった。
特に衝撃的だったのが、
「相手が結婚相手に相応しいか見極めるなら、どこを見ればいい?」
という問いへの答え。
「それは絶対にわからん」
・・・おいっ!
「はぁ?一緒に暮らしたり、相手の家族に会いに行ってもだめなの?」
「それは無理だ。結婚してみるまで、わからん」
なぜそこまで自信満々で答えるか聞いてみたところ…
「お前の母親と結婚するとき、俺の両親はかなり調べたんだ。
でもやっぱり、相手が隠している点については調査が及ばなかった。
結婚すると人生が二人になる。家族になる。
恋人同士で暮らしてみても相手の家族のことは分からないし、
家族に挨拶したとしても、相手が隠している点まではわからない」
「父さんも、弟や私が結婚するときは相手について調べたいと思う?」
眉をひそめて問うと、父親はしばし沈黙した。
「わからん。そこまでは知りたくないかもしれん。
俺はもう、長く生きられないから。
もし俺が70、80まで生きるなら知りたいが、
俺は酷い脳出血をやったから、寿命はそこまで続かない」
本音だな、と思った。
かつて私の上司も言い切った。
脳出血で半身不随になったなら、あと数年程度の命だろうと。
「ただ、結婚するなら頭がいい人としろよ。それは重要だ」
こちらの沈黙をどう取ったのか、藪から棒に父親は言い放った。
「は?何で?ていうか、母さんはともかく、今の奥さんって賢かったっけ?」
「賢くない。頭はよくない」
おいっ!なに断言してるんだこの親父!
「でも綺麗で、優しいから好きだ」
「はぁ?賢くなきゃだめなんじゃないの?」
「子供を産むなら、賢い人のほうがいい。俺は年取ってからの再婚だから」
な、なるほど・・・。
「でも私はお父さんの子供だから、賢い人より優しい人のほうが好きだな。
だって賢い人って、冷たくない?お父さんにしろ、弟にしろ」
「確かに、お前は冷たいな」
「うん。だから私は、いざとなったら自分を犠牲にできる優しい人が好き。
自分にはないものだから、そういう人に惹かれる」
そこまで告げて、ふと前々から気になっていたことを尋ねてみることにした。
「じゃあさ・・・弟や私が結婚するときは、相手に事前に会ってみたい?」
前々から気になっていたのだ。彼をどのタイミングで父親に会わせるべきか。
「わからん」
「私は正直、難癖つけられそうで嫌なんだけど。予め言っとくけど、私が選んだ人に難癖つけたら絶縁するからね」
笑って言うと、父親は唸った。
「俺はお前に、本当は歯科医か医者になってほしかった。文系なら公務員になってほしかった。俺が倒れたら介護をしてほしかった。でもお前は文学部を選び、民間企業に入って、転職して海外で働きたいと言っている。腹立たしいが、俺はお前のほうが正しくて、俺が間違っていることは分かっている」
「私の人生は私のためにあるから。父さんの人生が父さんのためにあるように」
「そうだ。…海外で働きたいなら、とっとと海外に出て働いてきたらどうだ。
日本で力を蓄えてたら、30、40になっても出られないぞ。
働けなくても、留学するなら今のうちだぞ」
つい数ヶ月前は、
「この井の中の蛙が!いきなり海外に飛び出すなんて愚の骨頂」
と嘲笑していた父親の豹変ぶりに驚きながら答えた。
「そうかもしれないね。でも、タイミングは自分で決めるよ。
自分で決めたことなら、私は後悔しないから」
「ほら、お前はそう言う。例えば、俺がお前に医者と結婚しろといったらどうする」
即答した。
「やだよ。エッチの相手と、四六時中一緒にいる相手は自分で選ぶよ。
そもそも私、旦那には経済力より家事力を求めるし」
「お前は、家庭に入る気がないんだな」
「何で私が家に引きこもってなきゃならないの?家事を手伝う気はあるけどさ」
「今の人はみんなそう言う。それは、いいことでもあるが、悪いことでもあるんだ。
家事は分担、稼ぎも分担?同じだけ稼がなきゃいけないぞ」
「それだと競争になっちゃうから、同じだけ生活費を出すやり方にするよ。小遣いや貯金は各自の稼ぎによって増減する、みたいな」
なに私、真剣に答えてるんだ?
そんなこんなで30分近く話した後、父親は、
「まあ結婚するなら、生命保険には入れよ。自分が倒れたとき、相手の生活を脅かすから」
と、まるで生保の営業みたいなことを呟いて電話を切った。
なんで私、あんなこと父親と話したんだろ・・・。
昨日祖母から電話がかかってきて、親族についてしゃべり倒して言ったけど・・・。
二日間のありえない長電話を思い出し、私は顔をしかめた。
まるで遺言みたいな、電話だった。
恋愛・結婚のマジトークに発展してしまった。
特に衝撃的だったのが、
「相手が結婚相手に相応しいか見極めるなら、どこを見ればいい?」
という問いへの答え。
「それは絶対にわからん」
・・・おいっ!
「はぁ?一緒に暮らしたり、相手の家族に会いに行ってもだめなの?」
「それは無理だ。結婚してみるまで、わからん」
なぜそこまで自信満々で答えるか聞いてみたところ…
「お前の母親と結婚するとき、俺の両親はかなり調べたんだ。
でもやっぱり、相手が隠している点については調査が及ばなかった。
結婚すると人生が二人になる。家族になる。
恋人同士で暮らしてみても相手の家族のことは分からないし、
家族に挨拶したとしても、相手が隠している点まではわからない」
「父さんも、弟や私が結婚するときは相手について調べたいと思う?」
眉をひそめて問うと、父親はしばし沈黙した。
「わからん。そこまでは知りたくないかもしれん。
俺はもう、長く生きられないから。
もし俺が70、80まで生きるなら知りたいが、
俺は酷い脳出血をやったから、寿命はそこまで続かない」
本音だな、と思った。
かつて私の上司も言い切った。
脳出血で半身不随になったなら、あと数年程度の命だろうと。
「ただ、結婚するなら頭がいい人としろよ。それは重要だ」
こちらの沈黙をどう取ったのか、藪から棒に父親は言い放った。
「は?何で?ていうか、母さんはともかく、今の奥さんって賢かったっけ?」
「賢くない。頭はよくない」
おいっ!なに断言してるんだこの親父!
「でも綺麗で、優しいから好きだ」
「はぁ?賢くなきゃだめなんじゃないの?」
「子供を産むなら、賢い人のほうがいい。俺は年取ってからの再婚だから」
な、なるほど・・・。
「でも私はお父さんの子供だから、賢い人より優しい人のほうが好きだな。
だって賢い人って、冷たくない?お父さんにしろ、弟にしろ」
「確かに、お前は冷たいな」
「うん。だから私は、いざとなったら自分を犠牲にできる優しい人が好き。
自分にはないものだから、そういう人に惹かれる」
そこまで告げて、ふと前々から気になっていたことを尋ねてみることにした。
「じゃあさ・・・弟や私が結婚するときは、相手に事前に会ってみたい?」
前々から気になっていたのだ。彼をどのタイミングで父親に会わせるべきか。
「わからん」
「私は正直、難癖つけられそうで嫌なんだけど。予め言っとくけど、私が選んだ人に難癖つけたら絶縁するからね」
笑って言うと、父親は唸った。
「俺はお前に、本当は歯科医か医者になってほしかった。文系なら公務員になってほしかった。俺が倒れたら介護をしてほしかった。でもお前は文学部を選び、民間企業に入って、転職して海外で働きたいと言っている。腹立たしいが、俺はお前のほうが正しくて、俺が間違っていることは分かっている」
「私の人生は私のためにあるから。父さんの人生が父さんのためにあるように」
「そうだ。…海外で働きたいなら、とっとと海外に出て働いてきたらどうだ。
日本で力を蓄えてたら、30、40になっても出られないぞ。
働けなくても、留学するなら今のうちだぞ」
つい数ヶ月前は、
「この井の中の蛙が!いきなり海外に飛び出すなんて愚の骨頂」
と嘲笑していた父親の豹変ぶりに驚きながら答えた。
「そうかもしれないね。でも、タイミングは自分で決めるよ。
自分で決めたことなら、私は後悔しないから」
「ほら、お前はそう言う。例えば、俺がお前に医者と結婚しろといったらどうする」
即答した。
「やだよ。エッチの相手と、四六時中一緒にいる相手は自分で選ぶよ。
そもそも私、旦那には経済力より家事力を求めるし」
「お前は、家庭に入る気がないんだな」
「何で私が家に引きこもってなきゃならないの?家事を手伝う気はあるけどさ」
「今の人はみんなそう言う。それは、いいことでもあるが、悪いことでもあるんだ。
家事は分担、稼ぎも分担?同じだけ稼がなきゃいけないぞ」
「それだと競争になっちゃうから、同じだけ生活費を出すやり方にするよ。小遣いや貯金は各自の稼ぎによって増減する、みたいな」
なに私、真剣に答えてるんだ?
そんなこんなで30分近く話した後、父親は、
「まあ結婚するなら、生命保険には入れよ。自分が倒れたとき、相手の生活を脅かすから」
と、まるで生保の営業みたいなことを呟いて電話を切った。
なんで私、あんなこと父親と話したんだろ・・・。
昨日祖母から電話がかかってきて、親族についてしゃべり倒して言ったけど・・・。
二日間のありえない長電話を思い出し、私は顔をしかめた。
まるで遺言みたいな、電話だった。
GW旅行企画のため、久々に高校時代の友人Gと長電話した。
友人Gはかつて命をすり減らすような恋愛をした女。
当時の彼が東京在住だったせいもあり、始まりから終わりまで一年近く介入したのだが、
いやぁ、今思い出してもあれはヤバかった。
泣きながら裸足で往来を駆け巡る愛。どんな愛だ。
あれから4年。
あの時、濃ゆい恋愛の相談・ノロケ・グチ等いろいろ聞いたよしみで、
普通は遠慮してなかなか言えない恋話もGだったら気軽に話せたりする。
あの話に比べれば、私の話なんて児戯に等しい。
人生何事も返報性の原理!
ちなみにGも現在、できる年上の彼氏と交際中。
なので自然、互いの恋愛について比較検討することになった。
その中で指摘されたのだが、私の恋愛はきょーだいっぽいらしい。
・・・平仮名なのは「兄妹」なのか「姉弟」なのかわからんからである。
年齢からすると前者なのだが、関係的には後者っぽいというか・・・。
まあ確かに私の彼はロマンチックな恋人というより肉親っぽい。
2回目デートの水族館では、「あのペンギン、立派な眉毛が水でへたっちゃった」
「あの2匹のイルカいいね。口元が可愛くて、仲良しで」と釘付けになるし。
かつては六つに割れていたという腹も、博士課程を経て見事三段腹となり、
毎度のごとく私にからかわれるようになってから一生懸命腹筋するようになったし。
(しかも腹筋回数を互いにメールで報告して牽制しあったりして)
そもそも日本語のボキャブラリーがやたら貧弱で、
しばし言葉を間違って覚えてるあたり人語が不得手な犬っぽいというか・・・。
そのくせ自信満々で私に言葉の解釈について挑んでくるし。
ボキャ貧の理系が、文系・広告広報担当の私に勝てるかってーの!
ノロケ話をしてるはずなのに、対するGが涙を流して大爆笑しているというこの不思議。
「たぶん普通の人なんだろうけど・・・私紹介されたら、笑いをこらえる自信がないよ!」
しかし、ふと話が途切れたときに私が思わず、
「あー・・・なんか色々思い出してたら会いたくなってきたー」
とつぶやいたら、すかさず、
「惚れてるねえ」
と突っ込まれた。
「まあねえ。転職先は彼の実家の傍にしようと思ってるし、彼の前だと泣いたりもするしね」
さらっと言ったつもりなのに、
「はああああ!?どうしたの桂!!」
とえらい勢いで突っ込まれた。
「お前が東京来いって言ってなかった!?ていうか泣くって、桂って泣けたの!?」
「失礼なヤツだな君は。私にも涙腺くらいあるよ」
「えっ、でも全然想像つかないよ!一体どんな風に!?」
理由(WHY)じゃなくて行動(HOW)を聞くか。
「え・・・例えば電話してて涙声になったり、話してて目が潤んだり。
こないだはちょっと傷つくこと言われて、目の前で号泣しちゃったよ」
しばらくGは受話器越しに絶句した後、搾り出すように言った。
「桂・・・それってべた惚れってことじゃないの?」
「うん・・・まあ愛も返報性の原理だよね。
もっとも転職は彼に会う前からするつもりだったし、
大学も本当は関西に行くつもりで、親友も関西にいるせいもあるんだけど」
「いっそ転職するまでの間、一ヶ月くらい一緒に住んでみたら?」
「実はそれ、結構現実的に考えてる。
仕事の引継ぎも時間かかりそうだし、場所が変わるなら足場を固めたいし、
業種や職種を変える以上、ゆっくり腰を落ち着けて考えたいしさ。
それに、なんかよくない?
彼の傍に行きます♪私もう、これ以上彼と離れて暮らせないの・・・って。
らしくなさ過ぎて、きっと誰も突っ込めまい」
「冗談やネタにしてはシュールすぎるよね・・・。
桂、本当に変わったねー。
なんか高校時代からは見違えるほど、人間らしくなった」
「女っぽくじゃなくて、人間らしくですか。どこまでも失礼なやつだなー。
まあここ数年、会社や家族絡みでいろんな人生を見てきたからねえ。
今の会社も仕事もお客様もスタッフも本当に好きだから、
きっと今、自分で思っている以上に辞めるのって大変だと思うんだ。
会社をよくするために年上の人を怒鳴ったり、業務マニュアル作って社内教化したり。
50代位の大先輩から「知恵を拝借させてください」って電話かかってきたりもするし。
愛社精神、仕事への誇り、人間愛、家族愛、恋愛。
これ以上学ぶこともなさそうだし、一度きりの人生を彼と伴にしたいから、
私は出て行くけれど、いい会社に入ったなあと思うよ。心から。」
「そっか・・・本当に、今の会社が好きなんだねえ」
「うん・・・。でも、はじめから定年までいる場所ではないからさ。
ひとまず6月のTOEICまで英語と転職先探しに励んで、
7月のボーナスもらったら、退職願を出してみるよ」
我ながら切なげに呟いて気づいた。
いつの間にか、会社のノロケ話になってね?
しかもそっちのが感情と実感こもってね?
就活のとき面接をお見合いに例えられたものだけど、
別れ話は切り出すのもつらいもの。
それでも27という年齢のうちに、踏み出さねばならないんだろうなあ。。。
友人Gはかつて命をすり減らすような恋愛をした女。
当時の彼が東京在住だったせいもあり、始まりから終わりまで一年近く介入したのだが、
いやぁ、今思い出してもあれはヤバかった。
泣きながら裸足で往来を駆け巡る愛。どんな愛だ。
あれから4年。
あの時、濃ゆい恋愛の相談・ノロケ・グチ等いろいろ聞いたよしみで、
普通は遠慮してなかなか言えない恋話もGだったら気軽に話せたりする。
あの話に比べれば、私の話なんて児戯に等しい。
人生何事も返報性の原理!
ちなみにGも現在、できる年上の彼氏と交際中。
なので自然、互いの恋愛について比較検討することになった。
その中で指摘されたのだが、私の恋愛はきょーだいっぽいらしい。
・・・平仮名なのは「兄妹」なのか「姉弟」なのかわからんからである。
年齢からすると前者なのだが、関係的には後者っぽいというか・・・。
まあ確かに私の彼はロマンチックな恋人というより肉親っぽい。
2回目デートの水族館では、「あのペンギン、立派な眉毛が水でへたっちゃった」
「あの2匹のイルカいいね。口元が可愛くて、仲良しで」と釘付けになるし。
かつては六つに割れていたという腹も、博士課程を経て見事三段腹となり、
毎度のごとく私にからかわれるようになってから一生懸命腹筋するようになったし。
(しかも腹筋回数を互いにメールで報告して牽制しあったりして)
そもそも日本語のボキャブラリーがやたら貧弱で、
しばし言葉を間違って覚えてるあたり人語が不得手な犬っぽいというか・・・。
そのくせ自信満々で私に言葉の解釈について挑んでくるし。
ボキャ貧の理系が、文系・広告広報担当の私に勝てるかってーの!
ノロケ話をしてるはずなのに、対するGが涙を流して大爆笑しているというこの不思議。
「たぶん普通の人なんだろうけど・・・私紹介されたら、笑いをこらえる自信がないよ!」
しかし、ふと話が途切れたときに私が思わず、
「あー・・・なんか色々思い出してたら会いたくなってきたー」
とつぶやいたら、すかさず、
「惚れてるねえ」
と突っ込まれた。
「まあねえ。転職先は彼の実家の傍にしようと思ってるし、彼の前だと泣いたりもするしね」
さらっと言ったつもりなのに、
「はああああ!?どうしたの桂!!」
とえらい勢いで突っ込まれた。
「お前が東京来いって言ってなかった!?ていうか泣くって、桂って泣けたの!?」
「失礼なヤツだな君は。私にも涙腺くらいあるよ」
「えっ、でも全然想像つかないよ!一体どんな風に!?」
理由(WHY)じゃなくて行動(HOW)を聞くか。
「え・・・例えば電話してて涙声になったり、話してて目が潤んだり。
こないだはちょっと傷つくこと言われて、目の前で号泣しちゃったよ」
しばらくGは受話器越しに絶句した後、搾り出すように言った。
「桂・・・それってべた惚れってことじゃないの?」
「うん・・・まあ愛も返報性の原理だよね。
もっとも転職は彼に会う前からするつもりだったし、
大学も本当は関西に行くつもりで、親友も関西にいるせいもあるんだけど」
「いっそ転職するまでの間、一ヶ月くらい一緒に住んでみたら?」
「実はそれ、結構現実的に考えてる。
仕事の引継ぎも時間かかりそうだし、場所が変わるなら足場を固めたいし、
業種や職種を変える以上、ゆっくり腰を落ち着けて考えたいしさ。
それに、なんかよくない?
彼の傍に行きます♪私もう、これ以上彼と離れて暮らせないの・・・って。
らしくなさ過ぎて、きっと誰も突っ込めまい」
「冗談やネタにしてはシュールすぎるよね・・・。
桂、本当に変わったねー。
なんか高校時代からは見違えるほど、人間らしくなった」
「女っぽくじゃなくて、人間らしくですか。どこまでも失礼なやつだなー。
まあここ数年、会社や家族絡みでいろんな人生を見てきたからねえ。
今の会社も仕事もお客様もスタッフも本当に好きだから、
きっと今、自分で思っている以上に辞めるのって大変だと思うんだ。
会社をよくするために年上の人を怒鳴ったり、業務マニュアル作って社内教化したり。
50代位の大先輩から「知恵を拝借させてください」って電話かかってきたりもするし。
愛社精神、仕事への誇り、人間愛、家族愛、恋愛。
これ以上学ぶこともなさそうだし、一度きりの人生を彼と伴にしたいから、
私は出て行くけれど、いい会社に入ったなあと思うよ。心から。」
「そっか・・・本当に、今の会社が好きなんだねえ」
「うん・・・。でも、はじめから定年までいる場所ではないからさ。
ひとまず6月のTOEICまで英語と転職先探しに励んで、
7月のボーナスもらったら、退職願を出してみるよ」
我ながら切なげに呟いて気づいた。
いつの間にか、会社のノロケ話になってね?
しかもそっちのが感情と実感こもってね?
就活のとき面接をお見合いに例えられたものだけど、
別れ話は切り出すのもつらいもの。
それでも27という年齢のうちに、踏み出さねばならないんだろうなあ。。。
以前パートさん(50代・既婚)が、
「結婚したとき、自分が2人になった気がしたんですよ。
それまで…親の庇護下にいたときも、主人と付き合ってるときも、
私の人生は自分ひとりのものだと感じてきたんですね。
でも結婚したら、2人で人生に向き合ってる感じがしたんです」
と言っていた。
今思えばこの言葉ほど「結婚」について的確に示した言葉も珍しいと思う。
*****
世の女性の多くはプロポーズやエンゲージリングなど演出にこだわるらしいが、
私は彼が結婚に対してどう思っているのか、現実を早く把握したかった。
しょっちゅう結婚をほのめかすが、それはリップサービスなのか本気なのか。
本気なら「いつ・どこで・どのように」結婚するつもりなのか。
結婚後はどういう夫婦生活を描いているのか。
それが決まらないことには、転職先を決められないからである。
異業種に行く以上、是が非でも今年中には動きたい。
もちろん彼にしても現段階だと不確定要素がほとんどだとは思うが、
人生プランとして彼自身の中で不動の要素というのが必ずあるはず。
それを知らずに動いた結果、引っ越したとたん異動ですれ違ったり、
転職先の仕事をすぐ棒に振る羽目になってはかなわない。
ほのめかしたり、情緒豊かに演出したりするのは苦手なので単刀直入に聞いてみた。
もし本気で結婚する気があるのなら、途中から人生が二人三脚になるようなもの。
コケたりうまく足を結べなかったりしたら嫌なので、情報を開示してほしいと。
「転職先は人生を左右する問題だから、一時の感情に流されず慎重に決めろよ。
俺のせいで、鷹子の力が腐ったらもったいない。
せっかく高い能力を持ってるんだから、思う存分力を発揮して活躍して欲しい。
でも・・・もしできるなら、神戸で待っててくれると嬉しい。
確かにうちの会社は異動が多いけど、俺は最後に必ず神戸に戻る。
若いうちは海外勤務だってしたいし、単身赴任になったりもするだろうけど、
最終的に俺は、あの家を継ぐつもりだから」
「今は金もないし、俺も就職したてだから、結婚はもうちょっと待って。
一番遅くても2年後までには、必ず決着をつけるから。
11月で付き合い始めて1年だから、その時あらためて決めよう。
結婚は互いにとって人生のターニングポイントになるから、
一時的な恋愛の勢いで決めるのはよくないと思うんだ」
別居婚宣言に、将来的には親同居の可能性。
私にとって都合のよい話ばかりではなかったけれど、
話をしていて、ふいに自分の前に道が開けた気がした。
隣に佇む彼と、現在のところ物理的な距離は広く、
互いに自由気ままなので、どこまで一緒に歩いていけるか、
確証なんてなにもないのだけれど。
今この道を歩むという選択をしたことを、私は絶対に後悔しない。
例えば転職がうまく行かなくても、彼と途中で袂を別つことになっても、
単身赴任も親との同居も、彼が無職になっても病気になっても要介護になっても。
この道が続く先に自分の将来があると信じて、行ける所まで行ってみよう。
私は不確定要素が何より恐ろしいので、必要以上に他人に期待しなかったけれど、
一度くらい他人を丸ごと信頼して、人生プランを立てることに挑戦してみよう。
口約束でこんなに嬉しくなるなんて、我ながらお手軽なばか者だとは思う。
でもどうせ盲目なんだから、今更賢しいニヒリストを気取っても仕方ない。
信じるというゲーム。失敗を恐れる臆病者にとって、それは試練でもあるけれども。
誰にも頼らず期待せず、自分の足で歩いていれば転ぶことはないかもしれないけど、
相手がいなくなれば倒れるのを承知で、背中をあずけて得られるものもきっとあるはず。
「結婚したとき、自分が2人になった気がしたんですよ。
それまで…親の庇護下にいたときも、主人と付き合ってるときも、
私の人生は自分ひとりのものだと感じてきたんですね。
でも結婚したら、2人で人生に向き合ってる感じがしたんです」
と言っていた。
今思えばこの言葉ほど「結婚」について的確に示した言葉も珍しいと思う。
*****
世の女性の多くはプロポーズやエンゲージリングなど演出にこだわるらしいが、
私は彼が結婚に対してどう思っているのか、現実を早く把握したかった。
しょっちゅう結婚をほのめかすが、それはリップサービスなのか本気なのか。
本気なら「いつ・どこで・どのように」結婚するつもりなのか。
結婚後はどういう夫婦生活を描いているのか。
それが決まらないことには、転職先を決められないからである。
異業種に行く以上、是が非でも今年中には動きたい。
もちろん彼にしても現段階だと不確定要素がほとんどだとは思うが、
人生プランとして彼自身の中で不動の要素というのが必ずあるはず。
それを知らずに動いた結果、引っ越したとたん異動ですれ違ったり、
転職先の仕事をすぐ棒に振る羽目になってはかなわない。
ほのめかしたり、情緒豊かに演出したりするのは苦手なので単刀直入に聞いてみた。
もし本気で結婚する気があるのなら、途中から人生が二人三脚になるようなもの。
コケたりうまく足を結べなかったりしたら嫌なので、情報を開示してほしいと。
「転職先は人生を左右する問題だから、一時の感情に流されず慎重に決めろよ。
俺のせいで、鷹子の力が腐ったらもったいない。
せっかく高い能力を持ってるんだから、思う存分力を発揮して活躍して欲しい。
でも・・・もしできるなら、神戸で待っててくれると嬉しい。
確かにうちの会社は異動が多いけど、俺は最後に必ず神戸に戻る。
若いうちは海外勤務だってしたいし、単身赴任になったりもするだろうけど、
最終的に俺は、あの家を継ぐつもりだから」
「今は金もないし、俺も就職したてだから、結婚はもうちょっと待って。
一番遅くても2年後までには、必ず決着をつけるから。
11月で付き合い始めて1年だから、その時あらためて決めよう。
結婚は互いにとって人生のターニングポイントになるから、
一時的な恋愛の勢いで決めるのはよくないと思うんだ」
別居婚宣言に、将来的には親同居の可能性。
私にとって都合のよい話ばかりではなかったけれど、
話をしていて、ふいに自分の前に道が開けた気がした。
隣に佇む彼と、現在のところ物理的な距離は広く、
互いに自由気ままなので、どこまで一緒に歩いていけるか、
確証なんてなにもないのだけれど。
今この道を歩むという選択をしたことを、私は絶対に後悔しない。
例えば転職がうまく行かなくても、彼と途中で袂を別つことになっても、
単身赴任も親との同居も、彼が無職になっても病気になっても要介護になっても。
この道が続く先に自分の将来があると信じて、行ける所まで行ってみよう。
私は不確定要素が何より恐ろしいので、必要以上に他人に期待しなかったけれど、
一度くらい他人を丸ごと信頼して、人生プランを立てることに挑戦してみよう。
口約束でこんなに嬉しくなるなんて、我ながらお手軽なばか者だとは思う。
でもどうせ盲目なんだから、今更賢しいニヒリストを気取っても仕方ない。
信じるというゲーム。失敗を恐れる臆病者にとって、それは試練でもあるけれども。
誰にも頼らず期待せず、自分の足で歩いていれば転ぶことはないかもしれないけど、
相手がいなくなれば倒れるのを承知で、背中をあずけて得られるものもきっとあるはず。
![]() | 結婚願望 (角川文庫) (2003/11) 山本 文緒 商品詳細を見る |
直木賞を受賞した恋愛小説家である山本文緒のエッセイ。
37歳×イチの著者が「生涯独身を覚悟するため」に書いた本。
…書き上げてから2年後、著者は会って2ヶ月の男性に求婚され、
結婚することになるのだが、それはまあ別の話。
以前これを読んだとき、私は生涯独身の気満々だった。
一人で何不自由なかった…というか結婚して不自由になるのが心底嫌だった。
やりたいことを全部やって、気が済んだら死のうと思っていた。
その時は、
「大人になるとみんな結婚する。
既婚者に対して人は礼儀正しく無関心だし、世の中は夫婦や家族仕様である。
東京ならいい年して独身でも目立たない。だから私は東京にしか住めない」
という一節が心に残った。まったく持ってそのとおりだよなあ。どうしよう私って。
さて、現在私は恋愛中である。
婚約してるわけでもプロポーズされたわけでもないが、
相手のご実家でお泊りしたり、会話の中で自然に結婚や子供の話が出たりと、
可能性が皆無ではないと思う。
あらためて読み返すと、やっぱりこの本、鋭いこと言ってる。
結婚とは生涯その人以外と恋愛しない約束だとか、
恋愛体質でない人は生涯1回、多くても3回でお腹いっぱいだとか、
お見合い結婚のカップルは以外と末永く幸せだったりとか。
私にはいわゆる 結婚願望=誰かと結婚したい はないと思うが、
現在彼とはかなり真剣に結婚したいと思っている。
我ながら不思議なもんだと思う。
一生働き続けたいと望むなら、結婚なんて面倒なだけなのに。
たぶん私は、一生結婚しなかったとしても幸せにやっていける。
落ち込むことだってあるけれど、そんなの結婚していたって同じ。
やりたいことだって野心だってあるし、友達や仲間もいる。
じゃあ何で結婚したいんだ?
と思うと、もうこれは本能のなせる業なんじゃないかと思うのだ。
私はみんなと一緒じゃなくたって平気だ。
そりゃ世の中夫婦仕様、家族仕様かもしれないけど、
少なくとも東京なら一人だって十分楽しめる。
しいて言えば社会的に独身だと下に見られるのが嫌だけど、
見栄のためにわざわざ結婚しようとまでは思わない。
ただ理性的には子供なんて面倒だし生涯いらないと思うのだが、
感情的に彼の子なら産んで育ててもいいかなと思う瞬間がある。
そのためには、まず結婚しなくちゃ、と思ったりする。
子孫を残したいという本能。
それこそが、結婚願望の正体であるように思う。
一生恋愛状態が続くなんて思わない。たぶん続いて数年だろう。
互いに働き続ける限り、別居婚になるだろう。
家族の切れない絆には心底うんざり、
親戚づきあいとか冠婚葬祭には関わりたくない。
それでも「結婚したいかも」なんて気の迷いを起こすのは、
どこかで子を産んで育てることを意識してるとしか思えない。
人間の欲には2通りあり、1つの欲は目的を達成すれば消えるが、
もう1つの欲は「もっともっと」とキリがないという。
一度くらい私も、真剣な恋愛をしてみたかった。
日常に彩を加える遊びや、都合から生じる馴れ合いではなく、
世界で唯一の恋人として愛して、愛されてみたかった。
それが叶えば、たとえその恋愛が燃え尽きて終わったとしても、
死ぬときの悔いがあらかた消えると思っていた。
真剣に人を好きになれば一緒に住みたいと思い、
一緒に住めば結婚したいと思い、結婚すれば子を生みたくなり、
子を産めば立派な大人に育てたくなる。
結婚願望はそんな半生をかけた欲望の入り口なのかもしれない。
・・・子が自立すれば、欲望は消えるのだろうか。
今週末は互いに如何ともしがたくヘヴィな状況だったため、
自宅で彼とゆっくりDVDを見て過ごした。
現実逃避って、過酷な現実と向き合うための勇気と力を養う為の、
人類の知恵なのかもしれない。
☆ Mr.&Mrs. スミス
彼とベッドで寝そべって見るには最高の映画だった。
倦怠期気味の夫婦は、実はライバル同士の殺し屋組織に属していて・・・
と、お気に入りの映画・「トゥルーライズ」を思い出させる内容なのだが、
こちらも明るくコミカルでテンポのよい映画。
ただし、こっちの夫婦のがゴージャス&セクシーなのでカップル向けかも。
見ててにやけちゃうようなラブシーンもあったし。
個人的には互いの正体を知った直後のディナーシーンと、
結婚生活の嘘を互いに暴露し合うシーンがお気に入り。
笑って映画を見ながらも、互いの表情に目を走らせ合ってしまった。
・・・カップルで見ると、絶対そうなると思う。
ただ、互いの裏の顔に気づき始めてから激突するまでに、
もっと時間を割いてもいいかと思った。
やっぱりそこまでが一番の見せ場だろうし、
急展開のが山場やエンディングのご都合主義者が目立たないような。
☆ パイレーツ・オブ・カリビアン
子供と安心して見れるエンターティメント作品。三部作の1と2を見た。
どっちもテンポよく途中で飽きずに見られるけど、
1が子供から大人まで楽しめる明るく正しいディズニー作品だとしたら、
2は子供と大人で感想が分かれるかも。
事実や行動だけを軽く提示してるけど、水面下はすごいドロドロじゃね?
ていう心理描写が結構あった。裏切りとか仲間割れとか。
伝統的なヒロイックファンタジーを踏襲すると同時に、
登場人物が皆人間らしい弱さを持っているところがよかった。
☆ ハンニバル・ライジング
「羊達の沈黙」の悪役・レスターの少年・青年時代の話。
幼少のトラウマから残酷な復讐劇を実行する異常心理と、
異様に凝った殺しの手口・・・と、彼好みの映画だったのだが、
私は要所の美しいシーンと「日本人のおば」の描写が印象的だった。
明らかに中国人顔のおばさまが、五月人形と仮面と日本刀を飾った神棚?を、
先祖崇拝のシンボルとしてあがめ、大阪の陣の巻物を所持している・・・
という設定(?)には感動を覚えた。
これ、ギャグじゃないよね?
深いテーマや魅力的な登場人物が出てくるわけじゃないけど、
エンターティメント映画の合間に見るにはいい映画だった。
☆ ダイハード4.0
まだ現役だったんだブルース・ウィルス!!
失礼・・・でもやっぱりびっくり。
小学生のころ第一作を見てから既に十数年。
初めっから中年だった彼は、既に初老のおじいちゃんである。
全然期待せずに見始めたのだが、意外と面白かった。
超人的に強いけど頑固で不器用な親父が家族の為にがんばる、
ある意味マンネリ、でもお決まりのストーリーは安定して楽しめる。
わざわざ一人で見るほどのものではないけれど、
下手なドラマやテレビ番組よりはいいかもしんない。
****
と、言うわけで一気に5本立て続けに見たわけだけど、個人的には、
「彼とDVDを見るのは意外と楽しい」
ということが一番の発見だった。
会うのが半端なく大変だから、つい旅行やイベントに流れがちだけど、
この人とは一緒にグダグダ日常を過ごすのも楽しいかもしんない。
ずーっとベッドに並んで転がって観ていたので、
見終わる頃には体の側面(左側)がちょっと痛くなった。
くっついて同じものを観続けていると、まるで2人で1匹の動物になったみたいだ。
片やスポーツ好きの理系、片や芸術好きの文系。
同じ映画を見ても、抱く感想は全く違いそうだけれども。
自宅で彼とゆっくりDVDを見て過ごした。
現実逃避って、過酷な現実と向き合うための勇気と力を養う為の、
人類の知恵なのかもしれない。
☆ Mr.&Mrs. スミス
![]() | Mr.&Mrs.スミス プレミアム・エディション (2006/04/05) ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー 他 商品詳細を見る |
彼とベッドで寝そべって見るには最高の映画だった。
倦怠期気味の夫婦は、実はライバル同士の殺し屋組織に属していて・・・
と、お気に入りの映画・「トゥルーライズ」を思い出させる内容なのだが、
こちらも明るくコミカルでテンポのよい映画。
ただし、こっちの夫婦のがゴージャス&セクシーなのでカップル向けかも。
見ててにやけちゃうようなラブシーンもあったし。
個人的には互いの正体を知った直後のディナーシーンと、
結婚生活の嘘を互いに暴露し合うシーンがお気に入り。
笑って映画を見ながらも、互いの表情に目を走らせ合ってしまった。
・・・カップルで見ると、絶対そうなると思う。
ただ、互いの裏の顔に気づき始めてから激突するまでに、
もっと時間を割いてもいいかと思った。
やっぱりそこまでが一番の見せ場だろうし、
急展開のが山場やエンディングのご都合主義者が目立たないような。
☆ パイレーツ・オブ・カリビアン
![]() | パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち (2006/12/06) ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム 他 商品詳細を見る |
子供と安心して見れるエンターティメント作品。三部作の1と2を見た。
どっちもテンポよく途中で飽きずに見られるけど、
1が子供から大人まで楽しめる明るく正しいディズニー作品だとしたら、
2は子供と大人で感想が分かれるかも。
事実や行動だけを軽く提示してるけど、水面下はすごいドロドロじゃね?
ていう心理描写が結構あった。裏切りとか仲間割れとか。
伝統的なヒロイックファンタジーを踏襲すると同時に、
登場人物が皆人間らしい弱さを持っているところがよかった。
☆ ハンニバル・ライジング
![]() | ハンニバル・ライジング スタンダード・エディション (2007/08/24) ギャスパー・ウリエル;コン・リー;リス・エヴァンス;ケビン・マクキッド;ドミニク・ウェスト 商品詳細を見る |
「羊達の沈黙」の悪役・レスターの少年・青年時代の話。
幼少のトラウマから残酷な復讐劇を実行する異常心理と、
異様に凝った殺しの手口・・・と、彼好みの映画だったのだが、
私は要所の美しいシーンと「日本人のおば」の描写が印象的だった。
明らかに中国人顔のおばさまが、五月人形と仮面と日本刀を飾った神棚?を、
先祖崇拝のシンボルとしてあがめ、大阪の陣の巻物を所持している・・・
という設定(?)には感動を覚えた。
これ、ギャグじゃないよね?
深いテーマや魅力的な登場人物が出てくるわけじゃないけど、
エンターティメント映画の合間に見るにはいい映画だった。
☆ ダイハード4.0
![]() | ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組) (2007/11/07) ブルース・ウィリス 商品詳細を見る |
まだ現役だったんだブルース・ウィルス!!
失礼・・・でもやっぱりびっくり。
小学生のころ第一作を見てから既に十数年。
初めっから中年だった彼は、既に初老のおじいちゃんである。
全然期待せずに見始めたのだが、意外と面白かった。
超人的に強いけど頑固で不器用な親父が家族の為にがんばる、
ある意味マンネリ、でもお決まりのストーリーは安定して楽しめる。
わざわざ一人で見るほどのものではないけれど、
下手なドラマやテレビ番組よりはいいかもしんない。
****
と、言うわけで一気に5本立て続けに見たわけだけど、個人的には、
「彼とDVDを見るのは意外と楽しい」
ということが一番の発見だった。
会うのが半端なく大変だから、つい旅行やイベントに流れがちだけど、
この人とは一緒にグダグダ日常を過ごすのも楽しいかもしんない。
ずーっとベッドに並んで転がって観ていたので、
見終わる頃には体の側面(左側)がちょっと痛くなった。
くっついて同じものを観続けていると、まるで2人で1匹の動物になったみたいだ。
片やスポーツ好きの理系、片や芸術好きの文系。
同じ映画を見ても、抱く感想は全く違いそうだけれども。
彼が九州の関連会社に出向することになった。
先週内々に出向の話が出たとき、仕事中の彼から突然電話がかかってきた。
「よくないことが起こった」と開口一番つぶやく彼の声は果てしなく暗かった。
大学時代の一時期を九州で過ごし、環境の変化を好む彼は、
勤務地や出向自体はさほど嫌ではないという。
ただ、仕事内容が希望から程遠いものになる危険性があるらしい。
片や私は今週末ちょっぴりヘヴィな事情によりダウンしていた。
どのくらいヘヴィって・・・彼が心配して往復12時間の陸路で会いに来るほど。
対する私の返事は一言「はぁ!?」だ。
ただでさえバカ高い交通費が1・5倍になるとか、陸路だと往復24時間以上かかるとかは、正直彼が心配するほど私にとって大した問題ではない。
どーせ始まったときから、往復6時間4万円以上。
始まりたての危うい期間も過ぎたことだし、工夫次第でなんとかなるだろって話である。
電話を切った後、しばらく私は頭を抱えた。
そしてオフィスの外で息をつくと、
「転職待てって神のお告げか!?」
と周りに同僚がいないのを確認して吐き捨てた。
せっかく転職を機に関西に移動しようと決心したところだったのに!
「慎重にことを進めたほうがいいですよ」
という某40代スクール仲間のセリフが胸にしみるよ!
さて・・・どうしよう?
****
まあ転職の目処を立てつつ5・6月のTOEICを受験するという当初の計画は変わらない。
問題は、その後。
都会大好き・外資系上等な私に九州はありえない。
ただ、これ以上関東にしがみついてても、いよいよ仕方ない気もするし・・・。
・・・いっそのこと、会社をすっぱり一度辞めてから仕事を探そうかなぁ。
その間に1ヶ月くらい、お試しで彼と生活してみるのもアリかもしれない。
転職斡旋会社はこぞって「在職してないと不利!」と訴えるが、
周りを見回すと職から職へ飛び石のように転職した人って、
同じような業界に移動して、また同じような不満を抱いて、
すぐ別の転職先を探している気がする。
逆にまったく違う業界や道に進む人は、一度職を辞して、
落ち着いて学校に通ったりしながら、自分を見つめ直す人が多い。
私も、次は全然別の業界に進むつもりだ。
この5年間で人間やマネジメントについては徹底的に学んだので、
次はもっと広い世界や海外に関われる仕事に就きたい。
結婚や出産なんてことも、視野に入れながら。
絶対に生涯独身だとは、言い切れない気がしてきたから。
そうなるとやっぱり、仕事と両翼的な意味で結婚お試し期間がほしい。
週末デートでいちゃこくのと、日常を共に過ごすのって全然違うだろうし、
職業柄、結婚といえば「倦怠期の家事」「看病・介護」なので、
互いに機嫌が悪かったり弱ったりしたときの感じも事前に確認しておきたい。
あー まったく もう。
自分が進む道のりの模索や、語学の習得は急務だけど、
家庭を持つ可能性なんてものまで視野に入れなきゃならないなんて。
転職前なのは幸いなのか。本当に何なんだ、最近の激変動は。
どうせ人生一度きり、やり直しも巻きなおしも利かないので、
まざまな経験を積むことに異存はないが、早く自分の進むべき道を見定めたい。
先週内々に出向の話が出たとき、仕事中の彼から突然電話がかかってきた。
「よくないことが起こった」と開口一番つぶやく彼の声は果てしなく暗かった。
大学時代の一時期を九州で過ごし、環境の変化を好む彼は、
勤務地や出向自体はさほど嫌ではないという。
ただ、仕事内容が希望から程遠いものになる危険性があるらしい。
片や私は今週末ちょっぴりヘヴィな事情によりダウンしていた。
どのくらいヘヴィって・・・彼が心配して往復12時間の陸路で会いに来るほど。
対する私の返事は一言「はぁ!?」だ。
ただでさえバカ高い交通費が1・5倍になるとか、陸路だと往復24時間以上かかるとかは、正直彼が心配するほど私にとって大した問題ではない。
どーせ始まったときから、往復6時間4万円以上。
始まりたての危うい期間も過ぎたことだし、工夫次第でなんとかなるだろって話である。
電話を切った後、しばらく私は頭を抱えた。
そしてオフィスの外で息をつくと、
「転職待てって神のお告げか!?」
と周りに同僚がいないのを確認して吐き捨てた。
せっかく転職を機に関西に移動しようと決心したところだったのに!
「慎重にことを進めたほうがいいですよ」
という某40代スクール仲間のセリフが胸にしみるよ!
さて・・・どうしよう?
****
まあ転職の目処を立てつつ5・6月のTOEICを受験するという当初の計画は変わらない。
問題は、その後。
都会大好き・外資系上等な私に九州はありえない。
ただ、これ以上関東にしがみついてても、いよいよ仕方ない気もするし・・・。
・・・いっそのこと、会社をすっぱり一度辞めてから仕事を探そうかなぁ。
その間に1ヶ月くらい、お試しで彼と生活してみるのもアリかもしれない。
転職斡旋会社はこぞって「在職してないと不利!」と訴えるが、
周りを見回すと職から職へ飛び石のように転職した人って、
同じような業界に移動して、また同じような不満を抱いて、
すぐ別の転職先を探している気がする。
逆にまったく違う業界や道に進む人は、一度職を辞して、
落ち着いて学校に通ったりしながら、自分を見つめ直す人が多い。
私も、次は全然別の業界に進むつもりだ。
この5年間で人間やマネジメントについては徹底的に学んだので、
次はもっと広い世界や海外に関われる仕事に就きたい。
結婚や出産なんてことも、視野に入れながら。
絶対に生涯独身だとは、言い切れない気がしてきたから。
そうなるとやっぱり、仕事と両翼的な意味で結婚お試し期間がほしい。
週末デートでいちゃこくのと、日常を共に過ごすのって全然違うだろうし、
職業柄、結婚といえば「倦怠期の家事」「看病・介護」なので、
互いに機嫌が悪かったり弱ったりしたときの感じも事前に確認しておきたい。
あー まったく もう。
自分が進む道のりの模索や、語学の習得は急務だけど、
家庭を持つ可能性なんてものまで視野に入れなきゃならないなんて。
転職前なのは幸いなのか。本当に何なんだ、最近の激変動は。
どうせ人生一度きり、やり直しも巻きなおしも利かないので、
まざまな経験を積むことに異存はないが、早く自分の進むべき道を見定めたい。
![]() | 臨死!! 江古田ちゃん 1 (2006/04/21) 瀧波 ユカリ 商品詳細を見る |
大学時代、ジェンダー関連の本に興味深い記述があった。
物語に登場する主人公格の女性は大きく3パターンに分かれる。
若く元気で可愛らしい「魔女っこ」、
優しくて聡明で美しい「聖母」、
意地悪で捻くれものの「魔女」。
前者は苦難の末に周りの助けを借りて幸せになるのと反対に、
後者は前者に打ち倒されて人から見捨てられ不幸になる。
これらの物語は社会からの、
「女の子は可愛く素直に振舞って、優しい母親になりなさい。
そうすれば周りに愛されて幸せになれますよ。
彼女らをひがんで周りから嫌われると婚期を逃して不幸になりますよ」
という思想教化なのだとか。
うーん、言われてみれば白雪姫から最近のアニメまで、
「子供から大人まで知ってるメジャーな物語」は大体当てはまるかなあと、
納得したのを覚えている。
時は流れ、女性の社会進出も進み。
「女性は適齢期で結婚して子を産むのが幸せ」は常識ではなくなった。
建前上「結婚?いい人がいればね」「子供?産む気はないけど」と、
誰彼はばかることなく言えるようになってきた。
そ ん な な か 江古田ちゃん物語は伝統的な構図を踏襲している。
一方的に猛禽(=魔女っこ)を敵対視する魔女・江古田ちゃん!
僻みっぽくて愛されなくて報われない江古田ちゃん!
魔女の生態。魔女の開き直り。魔女の遠吠え漫画である。わお〜ん!って。
いくら社会が変わろうが、結婚出産が常識じゃなくなろうが、
女だったらやっぱり、愛されたいかまわれたいお前だけって言われたい!!
って本音が紙面からほとばしるようだ。
女を捨ててるのに、なんか可愛い。
ブラックで面白いのに、なんか切ない。
いくら社会が変わろうとも、自由気ままに都会で逞しく生きていても、
やっぱり人間所詮動物だから「子孫を残したい」本能からは逃れられない。
そんな自虐から滲み出る悲哀が、多くの女性たちの共感を呼ぶ秘密なのかもしれない。
2006年9月にキャンパズビジットし、留学を断念してから既に1年半。
「留学がダメならせめて海外勤務できるような仕事に!」
と転職活動に活路を見出そうとするも、なんかぜんぜん活動は進まなかった。
父親が倒れ離婚騒動の後、友達の妊娠問題でばたばたする傍ら、
スクールで会計・財務、アシスタントと大活躍。
ようやく最後の難題・彼氏誕生から4ヶ月たち、
ふと気づけば今の会社に入って来月で5年が過ぎる。
私も既に27。
もう年齢的に考えて、転職に待ったなしだ。
で、最近思うのだが。
・・・転職ついでに、関西に移動しよーかなー。
****
もともと大学は関西の大学に進むつもりだった。(落ちたけど)
京都・大阪・神戸と異なる文化圏が密集し、関東よりも人も親しみやすく(イメージ)、
食べ物の美味しい関西は、高校時代から私の憧れだ。
そして・・・何より。
一定以上仲よくなる人は、なぜか皆名古屋以西在住OR出身なのである!
家族はもとより、幼馴染や中高の悪友たち、大学時代の親友に先輩!
サークルや会社の同僚、スクールの仲間たちはそりゃー関東出身の方もいるけど、
その中でも特にご縁があるのは皆関西出身の方々だ。
関東に9年以上いるっていうのに、気軽にサシで会える関東人がほとんどいないよ!フォウ!
そして何より彼氏。
関西の最果てのド田舎で勤務する可愛そうな人。
友達(文系がほとんど)だったら電話やメールのやり取りで意思疎通は図れるが、
彼氏のように言葉の不自由な人(理系の体育会系)とはできれば会って話したい。
でも東京までだと往復4万円〜6万円。6時間〜12時間。
月に2回会うだけで精一杯である。(それでも会いすぎって説もある)
縁が続くかなんてわからない。
でもやらずに失敗して後悔するより、
できることはすべてやった上で失敗したほうがきっとすっきりする。
どーせ留学で一度挫折してるんだから、
ここらで一発「らしくない」ことするのも悪くない。
転職する気も力もあるはずなのに、何で私1年以上ボーっとしてるんだろう、
と焦りや自己嫌悪に陥る日もあったけれど、この時を待っていたのかもしれない。
とりあえず5月6月にTOEICを受ける傍ら、関西の企業を調べてみようか。
「留学がダメならせめて海外勤務できるような仕事に!」
と転職活動に活路を見出そうとするも、なんかぜんぜん活動は進まなかった。
父親が倒れ離婚騒動の後、友達の妊娠問題でばたばたする傍ら、
スクールで会計・財務、アシスタントと大活躍。
ようやく最後の難題・彼氏誕生から4ヶ月たち、
ふと気づけば今の会社に入って来月で5年が過ぎる。
私も既に27。
もう年齢的に考えて、転職に待ったなしだ。
で、最近思うのだが。
・・・転職ついでに、関西に移動しよーかなー。
****
もともと大学は関西の大学に進むつもりだった。(落ちたけど)
京都・大阪・神戸と異なる文化圏が密集し、関東よりも人も親しみやすく(イメージ)、
食べ物の美味しい関西は、高校時代から私の憧れだ。
そして・・・何より。
一定以上仲よくなる人は、なぜか皆名古屋以西在住OR出身なのである!
家族はもとより、幼馴染や中高の悪友たち、大学時代の親友に先輩!
サークルや会社の同僚、スクールの仲間たちはそりゃー関東出身の方もいるけど、
その中でも特にご縁があるのは皆関西出身の方々だ。
関東に9年以上いるっていうのに、気軽にサシで会える関東人がほとんどいないよ!フォウ!
そして何より彼氏。
関西の最果てのド田舎で勤務する可愛そうな人。
友達(文系がほとんど)だったら電話やメールのやり取りで意思疎通は図れるが、
彼氏のように言葉の不自由な人(理系の体育会系)とはできれば会って話したい。
でも東京までだと往復4万円〜6万円。6時間〜12時間。
月に2回会うだけで精一杯である。(それでも会いすぎって説もある)
縁が続くかなんてわからない。
でもやらずに失敗して後悔するより、
できることはすべてやった上で失敗したほうがきっとすっきりする。
どーせ留学で一度挫折してるんだから、
ここらで一発「らしくない」ことするのも悪くない。
転職する気も力もあるはずなのに、何で私1年以上ボーっとしてるんだろう、
と焦りや自己嫌悪に陥る日もあったけれど、この時を待っていたのかもしれない。
とりあえず5月6月にTOEICを受ける傍ら、関西の企業を調べてみようか。









