旅の思い出のメモ・PART2。
○猿蟹合戦
旬も末期に近づいており金曜日だったせいか、
サクランボ狩りは出発から帰りまで2人きりだった。
「枝の下の方は取られてしまってるけど、上の方は残ってるから」
と佐藤錦の樹の横に置かれた鉄製の梯子に案内される。
サクランボは佐藤錦・ナポレオン・紅秀峰の3種類。
一つの樹に挿し枝をして、2種類の品種を実らせる樹もある。
サクランボが好きではない彼は、サクランボの栽培にしきりに興味を示していた。
彼の父親は農作業好きなので、その影響かもしれない。
そんな彼を尻目にサクランボが大好きな私は早速3種類を食べ比べてみた。
佐藤錦→甘くて味が濃い。実がぎっしり詰まった感じ。
ナポレオン→やや薄味で酸味が強い。
紅秀峰→甘くて大振りだが、佐藤錦より薄味。
って感じ。
比べると、やっぱり佐藤錦がサクランボの王様だ。
で、梯子に戻ろうとすると・・・なぜかサクランボが好きでもない彼が陣取っている。
「ちょっと替わってよ、私も食べたい」
「やだー。おまえはあっちの食べてな」
「佐藤錦が一番美味しいもん、私にもちょうだいよ」
すると彼は何を思ったか、いきなり口に含んでいたタネを吹きかけてきた。
「ひどいー!何するの!タネじゃなくて、実をちょうだいよう」
「やだよー。カニさんはすっぱいサクランボを食べな」
「うう、ひどいよ。そうだ、佐藤錦ばかりだと口の中が甘くならない?
ポレオン2つと交換ならどう?」
「あ、それならいいよ。ほれ、佐藤錦だ」
「やったー サルさん、ありがとう!はい、ナポレオン」
彼氏と童心に返って、大好きな果物を腹いっぱい食べ続ける。
子供の頃から夢だったサクランボ狩りは、思いのほか楽しかった。
○孝行息子
さて30分間堪能した後は、農園の前で帰りのタクシー待ち。
店頭では佐藤錦・紅秀峰など箱詰めされて並んでいる。
「実家に送ろうかな」
やおら彼は思い立ち、宅急便でサクランボを実家に送ることに。
送付先に実家の宛名を書き、送り主は迷った末「同上(鹿児島)」。
「佐藤錦にしますか?紅秀峰にしますか?」
「あー 迷うな。うーん。じゃあ、両方で」
お店の人に答えた彼に、私が驚く。
「親に5000円分もサクランボ送ってあげるんだ、優しい!」
「まあ、普段何もしてないから」
「それでも優しいよー。ふふ、親御さん送付状見て不思議に思うだろうね。
鹿児島の俺?なんで山形のサクランボ?なんて」
すると農園の管理者らしいおじさんが、売り子さんに声をかけた。
「おい、おまえ!そこのサクランボも包んでやれ」
「へ?」
どうやら売り子さんの旦那さんらしい。
きょとん、と目を見張る私たちに、おじさんはにやっと笑いかけた。
「もってけ」
帰りのタクシーにて。
「すごーい、きっと君の優しさに感心したんだよ」
しかし彼は浮かぬ顔。
「気持ちは嬉しいけど・・・もう俺、サクランボしばらくみたくないかも」
「えっ 本当?じゃあもらっていい?」
私は思わず満面の笑みを浮かべた。
「まだ食うの?お腹壊すぞ」
「まさか。会社のお土産にするんだよ」
「あ、そうか。うん、いいかもね」
ほっとしたように微笑む彼。
しみじみ「この人、お人よしだなあ」と思った。
○全身猫舌
私の旅の目的はサクランボ狩りと貸切露天風呂。
つぅわけで21:00から、彼と一緒に屋上にある貸切露天風呂に入った。
・・・んが。
「寒い寒い寒い寒い寒い寒い」
「ええ?そんなに寒いかな」
「なんでだおかしいぞこんなに寒いのにああもうシャワーお湯でないし」
「こっちはお湯出るよ。お背中流してあげようか?」
「いやもう無理ほんと寒いから俺温泉にはいりたい」
で、2人で温泉にはいったところ。
「熱い熱い熱い熱い」
「ええっ?ちょうどいいじゃん」
「いや確かにちょうどいいけど長く入れないしじっとしてると熱い」
そう言いながら落ち着きなく湯船を歩き回る彼。
そーいえば、この人家で風呂はいるときもいつもぬるま湯にしてたなー とか、
お味噌汁やグラタンを冷めるまで手がつけられない人だった、
と今更ながらに気づいた。
・・・温度調節できる貸切風呂って、さすがになかなかないよなあ。
○山寺の神様
同僚に勧められて山寺へ行って来た。
山寺とは松尾芭蕉も旅したという天台宗の霊山。
ガイドブックを読んだ感じだと正直さほど印象的ではなかったのだが・・・
この山寺、地蔵が凄い。
いたるところに地蔵。夫婦地蔵や子を背負う地蔵もいる。
また観光地としても栄えていて、名物の力こんにゃくや種種様々なおみくじが、
まるでお祭りの屋台のように道の両脇を固めている。
「なんでこんなに地蔵が多いんだろうね」
「山寺を作るとき、たくさん子供が亡くなったんじゃない?」
「ええっ 12歳以下の子を集めてお寺を作ったとか?
『勘弁して下さい、うちの子はまだ十(とお)になったばかりなんです。
あんな高いお山の上に、寺を作るなんて無理です』
『うるさい、12歳以下の子供だけで作れとのお達しじゃ
なあに安心せい、万が一のことがあっても地蔵を立ててやるわ』
『ああ、ご無体な!一郎!一郎!』
『かあちゃーん!』
なんて悲劇が繰り広げられたのかねえ」
「何言ってるの?」
彼の一言に妄想逞しくする私を、冷静に一刀両断する彼。
「なっ・・・君が変なこと言うから!もう、ちゃんとついてきてよ!」
さてそんな無駄口を叩きながらも1050段の階段を上りきり、
見晴台から景色を眺め、奥寺ではおみくじを1つ。
見事「大吉」。
おみくじには、
「遅れるけど必ず幸せになるから、まだかまだかと気を病むな」
と、まるで現在の私の状況を見透かしたような御言葉が記されていた。
○松島の鯉
本来「松島海岸通り」で下りるところを、間違えて「松島」で下りてしまった為に、
余計に2キロほど歩くことになった。まぎらわしいぞ松島。
それはともかく、松島ではこれまた同僚の勧めで瑞巌寺に行って来た。
前述のように降りる駅を間違えた為、裏口のような脇から境内に入る羽目になったのだが・・・
裏口の横に蓮の花がたくさん浮かぶ小さな池があった。
なにせ裏口なので、人はほとんどいない。
近づくと、池の中に住むたくさんの鯉たちが一斉に集まってきた。
試しにエサを撒くフリをしてみると、皆一斉に口を開閉した。
「お腹すいてるのかね」
「近づく人をえさと認識してるのかもね」
「こんな場所にあっても、だれかエサをあげてるのかなあ」
と、池の前では割と普通だったのだが。
何故か彼はその鯉の様子をいたく気に入ったらしく、
後々しきりに口をパクパクとさせ真似をしていた。
「なんで鯉の真似をしてるの?」
と呆れて尋ねると、
「おっ よくわかったね。鯉のまねー」
と嬉しそう。
いや・・・。
君が鯉の真似をしてるのは分かるけど、
君がなんでそんなことをしてるのかは、さっぱりわかんないよ。
そんな私の心に気づかず、ニコニコとパクパクし続ける彼。
つくづく、不思議な人だ・・・。
○猿蟹合戦
旬も末期に近づいており金曜日だったせいか、
サクランボ狩りは出発から帰りまで2人きりだった。
「枝の下の方は取られてしまってるけど、上の方は残ってるから」
と佐藤錦の樹の横に置かれた鉄製の梯子に案内される。
サクランボは佐藤錦・ナポレオン・紅秀峰の3種類。
一つの樹に挿し枝をして、2種類の品種を実らせる樹もある。
サクランボが好きではない彼は、サクランボの栽培にしきりに興味を示していた。
彼の父親は農作業好きなので、その影響かもしれない。
そんな彼を尻目にサクランボが大好きな私は早速3種類を食べ比べてみた。
佐藤錦→甘くて味が濃い。実がぎっしり詰まった感じ。
ナポレオン→やや薄味で酸味が強い。
紅秀峰→甘くて大振りだが、佐藤錦より薄味。
って感じ。
比べると、やっぱり佐藤錦がサクランボの王様だ。
で、梯子に戻ろうとすると・・・なぜかサクランボが好きでもない彼が陣取っている。
「ちょっと替わってよ、私も食べたい」
「やだー。おまえはあっちの食べてな」
「佐藤錦が一番美味しいもん、私にもちょうだいよ」
すると彼は何を思ったか、いきなり口に含んでいたタネを吹きかけてきた。
「ひどいー!何するの!タネじゃなくて、実をちょうだいよう」
「やだよー。カニさんはすっぱいサクランボを食べな」
「うう、ひどいよ。そうだ、佐藤錦ばかりだと口の中が甘くならない?
ポレオン2つと交換ならどう?」
「あ、それならいいよ。ほれ、佐藤錦だ」
「やったー サルさん、ありがとう!はい、ナポレオン」
彼氏と童心に返って、大好きな果物を腹いっぱい食べ続ける。
子供の頃から夢だったサクランボ狩りは、思いのほか楽しかった。
○孝行息子
さて30分間堪能した後は、農園の前で帰りのタクシー待ち。
店頭では佐藤錦・紅秀峰など箱詰めされて並んでいる。
「実家に送ろうかな」
やおら彼は思い立ち、宅急便でサクランボを実家に送ることに。
送付先に実家の宛名を書き、送り主は迷った末「同上(鹿児島)」。
「佐藤錦にしますか?紅秀峰にしますか?」
「あー 迷うな。うーん。じゃあ、両方で」
お店の人に答えた彼に、私が驚く。
「親に5000円分もサクランボ送ってあげるんだ、優しい!」
「まあ、普段何もしてないから」
「それでも優しいよー。ふふ、親御さん送付状見て不思議に思うだろうね。
鹿児島の俺?なんで山形のサクランボ?なんて」
すると農園の管理者らしいおじさんが、売り子さんに声をかけた。
「おい、おまえ!そこのサクランボも包んでやれ」
「へ?」
どうやら売り子さんの旦那さんらしい。
きょとん、と目を見張る私たちに、おじさんはにやっと笑いかけた。
「もってけ」
帰りのタクシーにて。
「すごーい、きっと君の優しさに感心したんだよ」
しかし彼は浮かぬ顔。
「気持ちは嬉しいけど・・・もう俺、サクランボしばらくみたくないかも」
「えっ 本当?じゃあもらっていい?」
私は思わず満面の笑みを浮かべた。
「まだ食うの?お腹壊すぞ」
「まさか。会社のお土産にするんだよ」
「あ、そうか。うん、いいかもね」
ほっとしたように微笑む彼。
しみじみ「この人、お人よしだなあ」と思った。
○全身猫舌
私の旅の目的はサクランボ狩りと貸切露天風呂。
つぅわけで21:00から、彼と一緒に屋上にある貸切露天風呂に入った。
・・・んが。
「寒い寒い寒い寒い寒い寒い」
「ええ?そんなに寒いかな」
「なんでだおかしいぞこんなに寒いのにああもうシャワーお湯でないし」
「こっちはお湯出るよ。お背中流してあげようか?」
「いやもう無理ほんと寒いから俺温泉にはいりたい」
で、2人で温泉にはいったところ。
「熱い熱い熱い熱い」
「ええっ?ちょうどいいじゃん」
「いや確かにちょうどいいけど長く入れないしじっとしてると熱い」
そう言いながら落ち着きなく湯船を歩き回る彼。
そーいえば、この人家で風呂はいるときもいつもぬるま湯にしてたなー とか、
お味噌汁やグラタンを冷めるまで手がつけられない人だった、
と今更ながらに気づいた。
・・・温度調節できる貸切風呂って、さすがになかなかないよなあ。
○山寺の神様
同僚に勧められて山寺へ行って来た。
山寺とは松尾芭蕉も旅したという天台宗の霊山。
ガイドブックを読んだ感じだと正直さほど印象的ではなかったのだが・・・
この山寺、地蔵が凄い。
いたるところに地蔵。夫婦地蔵や子を背負う地蔵もいる。
また観光地としても栄えていて、名物の力こんにゃくや種種様々なおみくじが、
まるでお祭りの屋台のように道の両脇を固めている。
「なんでこんなに地蔵が多いんだろうね」
「山寺を作るとき、たくさん子供が亡くなったんじゃない?」
「ええっ 12歳以下の子を集めてお寺を作ったとか?
『勘弁して下さい、うちの子はまだ十(とお)になったばかりなんです。
あんな高いお山の上に、寺を作るなんて無理です』
『うるさい、12歳以下の子供だけで作れとのお達しじゃ
なあに安心せい、万が一のことがあっても地蔵を立ててやるわ』
『ああ、ご無体な!一郎!一郎!』
『かあちゃーん!』
なんて悲劇が繰り広げられたのかねえ」
「何言ってるの?」
彼の一言に妄想逞しくする私を、冷静に一刀両断する彼。
「なっ・・・君が変なこと言うから!もう、ちゃんとついてきてよ!」
さてそんな無駄口を叩きながらも1050段の階段を上りきり、
見晴台から景色を眺め、奥寺ではおみくじを1つ。
見事「大吉」。
おみくじには、
「遅れるけど必ず幸せになるから、まだかまだかと気を病むな」
と、まるで現在の私の状況を見透かしたような御言葉が記されていた。
○松島の鯉
本来「松島海岸通り」で下りるところを、間違えて「松島」で下りてしまった為に、
余計に2キロほど歩くことになった。まぎらわしいぞ松島。
それはともかく、松島ではこれまた同僚の勧めで瑞巌寺に行って来た。
前述のように降りる駅を間違えた為、裏口のような脇から境内に入る羽目になったのだが・・・
裏口の横に蓮の花がたくさん浮かぶ小さな池があった。
なにせ裏口なので、人はほとんどいない。
近づくと、池の中に住むたくさんの鯉たちが一斉に集まってきた。
試しにエサを撒くフリをしてみると、皆一斉に口を開閉した。
「お腹すいてるのかね」
「近づく人をえさと認識してるのかもね」
「こんな場所にあっても、だれかエサをあげてるのかなあ」
と、池の前では割と普通だったのだが。
何故か彼はその鯉の様子をいたく気に入ったらしく、
後々しきりに口をパクパクとさせ真似をしていた。
「なんで鯉の真似をしてるの?」
と呆れて尋ねると、
「おっ よくわかったね。鯉のまねー」
と嬉しそう。
いや・・・。
君が鯉の真似をしてるのは分かるけど、
君がなんでそんなことをしてるのかは、さっぱりわかんないよ。
そんな私の心に気づかず、ニコニコとパクパクし続ける彼。
つくづく、不思議な人だ・・・。
comment
trackback
trackback_url
http://eastcoast1919.blog69.fc2.com/tb.php/297-82f2adce
http://eastcoast1919.blog69.fc2.com/tb.php/297-82f2adce
